ワクチンと新規治療が提起する複雑な問題に対応する ELISPOT

新しいワクチンや免疫療法の登場と臨床現場への投入が加速するのに伴い、ますます高度化する試験プラットフォームを中心とした個別化医療、免疫プロファイリング、免疫監視などの分野が次々と誕生しています。なかでも、ELISpot(Enzyme-Linked ImmunoSpot、酵素免疫スポット)群の免疫アッセイは、単細胞解析の機能的アッセイとして最も広く使用されています。1

ELISPOT チャートTrialtrove(Citeline.com)の2017年のデータによると、ELISpot アッセイは 160 件を超えるオープン試験で使用されました(図 1)。このように臨床での利用が増えた主な理由は次の通りです:

  • 先進国で進む高齢化に伴う感染症や慢性疾患の有病率の増加
  • オンコロジーの新しいワクチンや免疫療法における免疫アッセイの広範な利用
  • 試験の自動化や解析時間の短縮といった技術的進歩
  • バイオテクノロジー分野の成長

スポットで識別

ELISpot アッセイでは抗体被覆膜を使用し、細胞が分泌した検体(サイトカイン、免疫グロブリンなど)を、ELISA と同様のプレートの底から集めます。集めた検体は、細胞を取り除いたあと、着色基質として沈着させて可視化します。これにより、膜上にスポットが形成されます。 スポットは、目的の被検物質を分泌する細胞、検体の分泌物の量・動態の全体を表します2 。その後、数量測定を行い、抗原特異性 T 細胞 3 頻度などの量に関するレポートを作成して、予防接種や治療へとつなげます4。ヒトインターフェロンγ が検出される ELISpot アッセイは、IFN-γ ELISpot アッセイです。

IFN-γ
 ELISpot 

潜在的 T リンパ球エフェクター機能の誘発は、新しい生物学的治療の取り組みにおける中心的存在です。 IFN-γ は、その役割が知られていたことから、細胞性免疫反応誘発のための有力なマーカーとなりました5-7 。同時に、この 20 年間は IFN-γ ELISpot アッセイが、抗原特異性細胞の反応を検出・定量化する非常に高度で「シンプル」なプラットフォームとなっています。 Good Clinical Laboratory Practice のガイドラインでも T 細胞反応分析のベンチマークに採用され8、ワクチン、移植、HIV、癌、アレルギー、4,5,6,7 などの領域で利用されています。 IFN-γ ELISpot アッセイは、現在行われている治験評価で ELISpot 試験のニーズを 55% 近くカバーします。 また今、業界内で多機能型の細胞分析が拡大していることもあいまって9,10、IFN-γ ELISpot アッセイの品質が非常に注目されるようになりました。

ただ、一見簡単に思える IFN-γ ELISpot アッセイですが、それは見かけに過ぎません。複数の組織が実施したプロフィシエンシーパネルテストで、参加ラボの報告結果に著しい差異があることが分かっています。11,12,13 というのも、アッセイの結果を左右する、厳しく管理された不確定要素が複数あるのです。こうした要素には、試験液、抗原(刺激)、細胞貯蔵庫の状態、細胞生存性、スタッフのトレーニングレベルのほか、ELISpot プレートの実際の数量測定・定量化のアプローチなどが含まれます。

ELISpot の開発、適性判断、検証のための包括的アプローチ

治験でアッセイのばらつきやサンプルの完全性を管理するのであれば、ELISpot 試験ソリューションの導入はそれだけでは成功しません。 コーヴァンスの IFN-γ ELISpot 統合ソリューションでは専任のターゲット細胞単離チームが利用でき、このチームがアッセイに使用する細胞組織(末梢血単核細胞、T 細胞、B 細胞など)の処理 / 生産を担当します。サンプルの処理にかかるコストやリスクが抑えられるほか、冷凍した細胞を他の専門ラボへ輸送するときの追加費用も最小限で済みます。

また、研究の特定のニーズに応じて、規制のノウハウ、世界に向けたリーチ、確実なロジスティクス、試験量の増加に合わせた専門的・拡張可能な ELISpot ソリューションなども、ELISpot を利用した治験プログラムを成功させるうえで不可欠です。コーヴァンスセントラルラボ (CLS) では、ゲノミクスフローサイトメトリー組織学など、さまざまな領域の試験を幅広く扱っています。各試験では ELISpot アッセイに対する相互補完的データが得られ、すべてがひとつの場所にまとめられます。そのためスポンサーは、被験者の細胞の全体的な免疫状態が分かる機能的な免疫プロファイルを作成することができます。

コーヴァンスは幾年もの間、トランスレーショナルバイオマーカー ソリューションラボで IFN-γ ELISpot 試験を提供してきました。 さらに重要なのは、コーヴァンスが最近もインディアナポリスのワクチンおよび新免疫療法薬臨床検査室(CLS のひとつ)で IFN-γ ELISpot サービスを開始し、あらゆる IFN-γ ELISpot アッセイを治験プログラムのワンストップ ソリューションとしてスポンサーに提供している点です。

将来を見据えて

分泌されたサイトカインを従来の比色分析法で定量化することに加え、コーヴァンスの ELISpot プラットフォームでは、多重 FluoroSpot アッセイ(図 2)を開発・実施することも可能です。多重 FluoroSpot アッセイは ELISpot の次世代版で、複数の検体の同時測定を行います14,15 。このモジュラー型アプローチによる新しい FluoroSpot アッセイ検証法が「プラグ・アンド・プレイ」の柔軟性を生み、スポンサーが求めている抗原やターゲットに向けて開発時間を短縮します。コーヴァンスのワクチンおよび新免疫療法薬ラボの ELISpot プラットフォームは、領域における今後の変化にうまく対応できるようになっています。


参照
1-Czerkinsky CC、他 / J Immunol Methods / 1983;65:109-121
2- Karulin A.Y、Lehmann、PV / Methods Mol Biol / 2012;792:125-143
3- Nanan R、他 / J Gen Virol / 2000;81:1313-1319
4- Carvalho L.H、他 / J Immunol Methods / 2001;252:207-218
5- Flynn K.、他 / Immunity / 1998;8:683-691
6- Bercovici N、他 / Clin Diag Lab Immunol / 2000;7:859-864
7- Carter LL, Swain SL / Curr Opin Immunol / 1997;9:177-182
8- Ezzelle J、他 / J Pharm Biomed Anal / 2008;46(1):18-29
9- Dillenbeck T、他 / Cells / 2014;3(4):1116-1130
10- Gazagne A、他 / . J Immunol Methods / 2003;283:91-98
11- Janetzki S、他 / Cancer Immunol. Immunother / 2008;57:303-315
12- Britten C.M、他 / Cancer Immunol Immunother / 2008;57:289-302
13- Cox J.H、他 / AIDS Res Hum Retroviruses / 2005;21:68-81
14- Janetzki S、他 / Cells / 2014;3(4):1102-1115
15- Gazagne A、他 / J Immunol Methods / 2003;283(1-2):91-98