E6:コンプライアンスの達成 〜 ワークフローの課題について考える

スポンサーの多くが認識している最近の ICH GCP E6 改定(R2)では、スポンサーのモニタリングとリスク管理の基準が EU、日本、米国で統一され推奨事項としてまとめられましたが、 その導入にあたっては検討すべき点が数多くあります。

この記事では、スポンサーがこの推奨事項に対応する際に直面し得るさまざまな課題を取り上げ、今日の治験を取り巻く複雑なエコシステムの効率向上の可能性について考えます。

さまざまに異なる導入のレベルに対応するには

最新版では、スポンサーに順応性の優れた品質管理システムを採用することが義務付けられ、CRO を監督することも求められています。しかし、追跡システムやベンダーの記録、CTMS、モニタリングプラットフォームなどは多種多様で、全体像をつかむことは至難の業であろ、ミスの温床ともなりかねません。

コーヴァンスでは、煩雑なプロセスを解消し、データ統合における問題を解決してモニタリングプロセス全体の統制を高めるための機会を見出しました。同社の開発した統合型プラットフォーム、Xcellerate モニタリングがそれにあたり、フルサービスあるいは SaaS といった形態で提供されています。

リスクベースモニタリングで最も簡単に導入できるものといえば、Xcellerate® リスク評価分類ツール (RACT) でしょう。Xcellerate では、リスク評価プロセスのなかで、話し合いを要する疑問点や重要な検討事項をまとめていきます。治験の計画段階でリスクが減らせるうえ、スポンサーが基本的なリスクベースのアプローチを簡単に始めらる点がメリットです。

データの完全性を強化

規制ガイダンスに沿う形で RACT の原則を推し進め、今の課題を解消するために設計された Xcellerate モニタリング。チームが開発で最初に取り組んだのは、進行の妨げとなる運用例をもとにシステム要件を決めることでした。これには、エスカレーション能力、設定可能なワークフロー、確実なレポーティング・検索機能、複数プラットフォームの統合、一貫した監査証跡のための検証が含まれています。

RAPID 要件の作成

コーヴァンスのチームは開発のなかで、システム間にまたがる要素、つまりリスク (Risk)、アクション (Action)、プロトコル逸脱 (protocol deviation)、問題 (Issue)、意思決定 (Decision) などをリンクさせようと考え、その頭文字をとって RAPID と呼ぶことにしました。

要素をリンクさせたことでリスクの一つひとつが、その低減のためのアクション、決定内容(何を実行するか)の候補、特定の問題の結果とつながり、 その結果、プロトコル逸脱の追跡・確認をライフサイクルのどこで行っても、フォローアップのアクションが取られたかどうかが一目で分かるようになりました。

既存のシステムを強化

モニタリングは多角的なプロセスであることから、Xcellerate には個々のワークフローに対応したさまざまなコンポーネントが備わっています。たとえば、スポンサーがこれまで全体像を知ることのできない CTMS システムに頼ってきたことを考慮し、 コーヴァンスは Xcellerate モニタリングに「リスクおよび問題管理」システムをつけることで、スポンサーの CMTS と連結させ、特定のシステムに依存しない状態を保ちながら警告や通知を発信するようにしています。

こうした統合の試みは複数の当事者にメリットをもたらします。まずプロトコル逸脱の情報が受信ボックスに届くと、医師は警告メッセージを受け取ります。メッセージには、実際にあった逸脱のワークフロー履歴を完了させるための電子リンクがついています。プロジェクトマネージャーもまた問題の追跡が可能で、問題の状況に変化があると同じく警告メッセージを受け取ります。プロジェクトチームにおいては、臨床チームのリーダーと臨床開発モニター (CRA) が、主なリスク指標や施設がどのように評価されたか、またそれに関連するエスカレーションを総合的に把握できるようになります。

RACT が連結しているため、「リスク評価」でリスクが特定されスコア化されていれば、実際に研究が行わている国・施設で発生したリスクを評価する際も、複数の記録は不要で手作業での追跡作業も必要ありません。患者様の安全性情報を追跡する「医療評価」ツールのほか、データへの総合的なアクセスを可能にする「統計評価」ツールもあり、これを使えば非無作為性の異変や患者様のリクルートなどのデータの傾向を知ることができます。

コンプライアンスに向けたスポンサー支援

ICH GCP E6 ガイダンスになってスポンサーの監督責任が増えたことは重要な点で、これはプロセスの透明性および CRO の業務効率が高まることを意味します。

リスクベースモニタリングの現場導入や最新版ガイダンスのコンプライアンスにはさまざまなレベルがあることから、私たちは今後、評価やモニタリング、リスク追跡のための包括的なシステムに価値を見出すスポンサーがさらに増えると見込んでいます。 最近当社がリリースしたウェビナーでは、Xcellerate モニタリングが皆様の研究チームのリスク管理を変え、規制を遵守した高品質のデータを確保するうえでいかに役立つかご紹介しています。ぜひご覧ください。