5TGM1-luc - 多発性骨髄腫の同系マウスモデル
執筆者:
Dylan Daniel 博士 - サイエンティフィック・ディベロップメント部門ディレクター
日付:
2016年8月
多発性骨髄腫はプラズマ B 細胞の悪性腫瘍で、米国で 2 番目に多い血液の癌です。悪性の骨髄腫細胞が骨髄に蓄積され、最終的には正常な造血管細胞にとって代わり、進行性の白血球欠乏となります。化学療法剤とプロテアソーム阻害剤は、最先端の癌治療法の一般的なもので、自家造血幹細胞移植がこれに続くことがよくあります。これらの治療方法での再発はよく見られ1、新たな標的療法方や免疫療法に向けた研究が活発に進められています。


5TGM1 の多発性骨髄腫モデルは、 C57BL/KaLwRij の老年マウスに自然発生し、細胞株が確立される前に同系マウスの連続継代を介して増殖しました。コーヴァンスの 5TGM1 株は、ルシフェラーゼ対応で、生物発光イメージング(BLI)による骨髄などの同所の成長のモニタリングが可能になっています。 5TGM1-luc を同系 C57BL/KaLwRij マウスの静脈内に注入し、BLIで モニタリングを行うと、細胞の増殖が進み (Figure 1)、長骨(骨髄)と腸、肝臓、脾臓、脊椎、脳などその他の播種部位にシグナルがはっきりと現れているのがわかります(図 2)。また 5TGM1-luc 細胞は、免疫不全株の、ベージュヌード xid と呼ばれる NIH-III ヌードマウスで、骨における腫瘍量評価までの時間をより早めます。
プロテアソーム阻害剤も、多発性骨髄腫の治療の標準薬になっています。試験された投与量とレジメンにおけるNIH-III マウスでは、5TGM1-luc モデルは全身の BLI 評価によるとカルフィルゾミブ(図 3a)への反応がまったくありませんが、 同系設定では、5TGM1-luc モデルは腫瘍成長が遅くなる傾向を示しており(図 3b)、手法の理想的な組み合わせとなる可能性があります。
これらの研究では、全身の腫瘍量の分析に著しい活動は見られませんでしたが、フローサイトメトリーによる骨髄の腫瘍量の BLI または ex vivo 分析あるいはその両方の柔軟性は、当社の分析をさらに精錬して将来の研究で解剖的部位を特定し、治療上のメリットを示すことができる可能性があります。現在複数の臨床試験が進められており、多発性骨髄腫でチェックポイント阻害剤およびその他の Immuno-Oncology 剤を試験しています。抗PD-12 と抗CD1373 抗体は、5TGM1 モデルで活性があり、新しい Immuno-Oncology 剤の試験に有効なモデルであることを示唆しています。
お客様の今後のオンコロジー研究に役立つ 5TGM1-luc やその他の同系モデルについて、当社のサイエンティストがご相談を承ります。ぜひこちらから当社までお問い合わせください。
注:各試験は、AAALAC 認定の施設で所定の動物倫理に従って実施されています。