CT26:マウス結腸癌

著者:科学開発部門担当バイスプレジデント、Maryland Franklin 博士
Date: February 2016


前臨床において、マウス CT26 結腸癌細胞株は土台となるモデルとなっており、免疫チェックポイント抑制抗体との複合薬の可能性を評価するために使用されてきました。これは高い免疫抗原性を持つ腫瘍であり、数多くの市販されているチェックポイント抑制物質の数値と同等の客観的奏効率を示す傾向があります。ラボコープでは9か月にわたり、このモデルの実験を何度も繰り返し、さらに定期的な研究を行ってきました。

20 人に 1 人と推定される結腸癌は、男性と女性の両者に最もよく見られる癌のひとつです。スクリーニング方法が改善されたことで、結腸癌の全体的な発生率は過去 20 年間で減少しています。しかし、依然として早期発見の件数は 40% のみと推定され、全患者のうちの 50% は転移性疾患も発症しています。このため、結腸癌はなおも重要視されており、オンコロジー医薬品の創薬および開発が盛んな分野となっています。最も一般的な治療の選択肢は手術です。しかし、多くの患者が化学療法を受けており、化学療法と放射線療法を併用するケースもあります。早期発見を除いた場合の生存率が 5 年と、かなり低いままです。現在では、結腸癌に対する免疫療法の可能性を評価するために多くの臨床試験が進行しています。

前臨床において、マウス CT26 結腸癌細胞株は土台となるモデルとなっており、免疫チェックポイント抑制抗体との複合薬の可能性を評価するために使用されてきました。これは高い免疫抗原性を持つ腫瘍であり、数多くの市販されているチェックポイント抑制物質の数値と同等の客観的奏効率を示す傾向があります。 We have run this model more than a dozen times in the past nine months, with additional studies being scheduled regularly.

抗 CTLA4 抗体治療に反応する CT26

CT26 モデルは抗 CTLA4 抗体治療に非常に高い反応を示しており、治療されたマウスの 100% で腫瘍退縮が見られます。長期生存率を評価する研究では、治療されたマウスの 70-90% 近くが長期にわたる回復を示しています。また、CT26 の再移植によって主に腫瘍が再増殖がなくなり、メモリー免疫応答の発生を示唆しています。

C26 マウス結腸癌の増殖チャート

CT26 および抗 PD-L1 治療

抗 CTLA4 抗体による治療とは対照的に、CT26 腫瘍を持つマウスを抗 PD-L1 抗体で治療したところ、治療に反応したマウスはごくわずかでした。数匹のマウスにおいて、抗 PD-L PD-L1 抗体による治療後、腫瘍を完全に根絶することができました。再び試験したときには、これらのマウスは治癒し、腫瘍の再増殖は観察されませんでした。ただ、ほとんどの場合はマウスの 40% が一時的に小康状態となり、その後、媒体またはアイソタイプで治療した対照マウスと比較して、腫瘍の増殖が遅れるのみでした。興味深いことに、抗 PD-L1 治療に全く反応を示さないマウスの割合は、臨床環境の場合と同じでした。この抗 PD-L1 治療を用いたモデルは、数多くの薬物併用研究で有益となることが証明されました。

抗 PD-L1 抗体の表
対照群

CT26 とフローサイトメトリー

抗癌剤の組み合わせの有効性の評価に加えて、このモデルは、免疫系の表現型の変化を評価する際にも役立つことが証明されています。この目的のため、当社では Attune NxT® フローサイトメーターを使用して、多数の基本的な腫瘍浸潤白血球に対して CT26 腫瘍を評価しました。

CD4+ の表

さらに、この基本分析に加えて、当社ではより複雑な各種細胞集団の標準パネルも確立しています。

 

細胞の表

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参照

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