MC38:免疫応答性マウス腫瘍モデル

著者:

Sheri Barnes 博士 | サイエンティフィック・ディベロップメント部門ディレクター

Maryland Franklin 博士 | 科学開発部門担当バイスプレジデント

日付:

2019年3月

 

大腸癌は、米国で4番目に多く診断が下されている癌です。女性の癌関連の死因のうち大腸癌は上から3番目に挙げられ、男性では2番目に挙げられます。2019年には、米国で145,000件以上の新しい大腸癌のケースが診断され、51,000以上の患者様が死亡するものと推測されています。しかしながら、過去数十年にわたる予防と早期発見のイニシアチブと、治療選択肢の拡大により、大腸癌の診断数と死亡数は減少傾向にあります。こうした対策の結果、5年以上の生存率は64.9%まで上昇しましたが、早期発見されなかったケースでは急激に生存率が降下します。[1] そのような訳で、引き続き大腸癌の新療法の開発が必要とされています。

免疫療法の出現は、さらに高度なimmuno-oncology治療法を開発するために理想的な増殖キネティクスと、免疫調整薬に対する理想的な反応をする同系マウス腫瘍モデルの必要姓を喚起しました。 この大腸腺癌モデルのうちMC38は、コーヴァンスによってこの種の薬品の開発に寄与すると特徴付けられています。MC38は、長期間にわたり発がん物質DMH(1、2--ジメチルヒドラジン塩酸塩)に晒された後、C57BL/6マウスの大腸腫瘍より隔離されました。[2] 下記に説明されている通り、MC38は免疫調整抗体に対し好ましい反応特性を示しており、これは免疫活性化に対して腫瘍の微細環境が調整可能であることを示しています。したがってMC38は、医薬品開発における著しい実用性を備えた強力なImmuno-Oncologyモデルとして位置付けられます。

  

皮下MC38腫瘍のin vivo倍加時間は~4日で、試験薬の抗腫瘍活性を引き出すのに最大3週間までの投薬期間域を可能にする、緩やかな増殖率です。このモデルは、一般的に用いられているチェックポイント阻害剤に対する反応を評価する治験に使用されました。1番の図表では、治療をしていないコントロール腫瘍の平均腫瘍体積(A)と各腫瘍の体積(B~F)、それからアイソタイプ コントロール、抗mCTLA-4、抗mPD-L1または抗mPD-1で治療を受けたものを比較して示しています。すべての試薬の投与は、腫瘍が(~100mm3)になってから開始されました。3種類あるチェックポイント阻害剤の中でも抗mPD-L1と抗mPD-1は最も意義深い抗腫瘍作用を示し、無治療の対象群と比べて腫瘍の増殖遅延が22日目までにそれぞれおよそ6日と8日、推定されるレスポンダーはそれぞれ40%と50%、そして憎悪を起こすまでの遅延日数はそれぞれ32日と29日間となっています。この治療の明らかな効果は、添加剤や、候補分子との相乗効果の向上を可能にします。

図表1: チェックポイント阻害剤療法後の、MC38腫瘍の平均的および個別の増殖率
図表1: チェックポイント阻害剤療法後の、MC38腫瘍の平均的および個別の増殖率

さらに共刺激分子抗mOX40と抗mGITRに対するMC38の反応が評価され、図表1に示されている反応と比較してより確固たる抗腫瘍活性(図表2Aと2B-Eを参照)が観察されました。​​​​​​​抗mOX40​​​​​​​療法は22日目に平均ΔT/ΔC51%の緩やかな抗腫瘍活性を生じさせ、推定レスポンダーは10%、腫瘍増殖遅延は4.5日間でした。抗mGITRを使った治療は、抗腫瘍活性も最小で、22日目に平均 ΔT/ΔC が72%となり、推定レスポンダーは20%、腫瘍増殖遅延は2日でした。しかしながら、これらの薬品に向上の余地があることを示唆する活性が存在するのも事実で、MC38は様々な免疫調整薬との併用療法に用いるのに望ましいモデルとなっています。

  

図表2: 共刺激抗体療法後の、MC38腫瘍の平均的および個別の増殖率
図表2: 共刺激抗体療法後の、MC38腫瘍の平均的および個別の増殖率

放射線療法は大腸癌の治療にはあまり使用されませんが、手術前に腫瘍を小さくしたい時や、手術に耐えうる健康状態にない患者様へ科学療法との併用で使用する時など、特定の状況においては使用が正当化されます。 また、放射線は直腸癌に使用されることが比較的多いと言えます。コーヴァンスでは、小動物放射線研究プラットフォーム(SARRP, Xstrahl)を使用してマウスモデルに焦点放射線ビームを照射しています。MC38 model皮下施術では、5、10、または20 Gy の焦点投与を単回照射する試験を行いました。 治療の後、抗腫瘍活動の線量反応が観察され(図表3)、5 Gyではごく微量の活動、10 Gyでは中程度の活動、20ではかなりの活動が見られました。それに続く段階では、MC38腫瘍モデル内の10Gyの放射線と抗mPD-1の組み合わせを検証しました(図表4)。結果、この組み合わせが抗腫瘍反応を向上させることを発見し、腫瘍なしの生存者が30%生じました。対照的に単剤療法では、腫瘍無しの生存者は皆無でした。したがって、MC38は放射線療法との併用アプローチを検証する魅力的なモデルでもあると言えるでしょう。

図表3: 焦点放射線療法後の、MC38腫瘍の平均的および個別の増殖率
図表3: 焦点放射線療法後の、MC38腫瘍の平均的および個別の増殖率

図表4: 抗mPD-1と焦点放射線の併用治療後の、MC38腫瘍の平均的および個別の増殖率
図表4: 抗mPD-1と焦点放射線の併用治療後の、MC38腫瘍の平均的および個別の増殖率

 

MC38マウス大腸癌腫モデルは、安定した前臨床のImmuno-Oncologyモデルとして採用できます。このツールを放射線、チェックポイント阻害剤、共刺激分子、またその他の新しいアプローチと併用して新規治療とする試験に、当社のデータが役立ちます。MC38や他の当社の同系モデルを、いかに次のImmuno-Oncology研究にお使いいただけるかについて当社のサイエンティストとお話しいただくために、ぜひコーヴァンスにお問い合わせください。

[1]Howlader N、Noone AM、Krapcho M、Miller D、Bishop K、Kosary CL、Yu M、Ruhl J、Tatalovich Z、Mariotto A、Lewis DR、Chen HS、Feuer EJ、Cronin KA (eds)。SEER Cancer Statistics Review、1975-2014、米国がん研究所(National Cancer Institute)。Bethesda 医師、 https://seer.cancer.gov/csr/1975_2014/、監視疫学遠隔成績プログラム(SEER)ウェブサイトに2017年4月に掲載された、2016年11月提出データに基づく。

 [2]Corbett TH, Griswold Jr, DP, Roberts JC, Peckham JC, Schabel, Jr, FM (1975)マウスの大腸の移植癌の発達における腫瘍誘発関係の化学療法アッセイに、発癌物質の構造に関するノートを加えたもの。  Cancer Research, 35: 2434-2439。