膵臓癌のモデル

執筆者:

Erin Trachet、オンコロジー部門シニア科学顧問 / プロポーザルディベロップメント部門シニアマネージャー

日付:

 2017年9月

すべての膵癌のうち 90%以上が管腺癌に分類されます。欧米では、膵癌が癌関連の死因のうち上位4番目に数えられます。膵癌の予後診断は極めて悪く、5年間生存できる確率は5%、また切除不可能なステージⅢの腫瘍で平均3.5 か月となっています。1残念ながら膵癌の診断件数は増加傾向にあり、5年生存確率は変わっていません。唯一治癒の可能性のある治療方法は切除手術ですが、手術が可能な、早期段階での発見に至る患者は10%、手術が可能でも最終的には殆どの患者が再発します。他のタイプの癌と同様、膵癌も何年もの間静かに、自覚症状も無く進行します。多くの場合、癌が膵臓以外の近隣の臓器に増殖または転移するまで診断されません。こうした場合、意義のある選択肢はあまり残されていません。こうした理由で、膵癌の治療における新しい効果的な療法が必要とされています。

ここ15年の間、進行期癌と診断された患者に、一次治療として一般的に投与されるのは、ゲムシタビン(Gemzar®)です。前臨床において、当社ではゲムシタビンを標準治療として、現行の治療オプションを超える選択肢を求めるお客様および標的薬剤、免疫調整剤などの新しい治療法と併用されたいお客様に提供しています。

新しい治療法の開発を助けるため、ヒトおよびマウスの複数の膵蔵細胞株が前臨床の癌研究コミュニティ向けに用意されています。コーヴァンスでは大きな膵臓細胞株の一団を、すぐ試験に使える状態でご用意しています(表1を参照) 当社では皮下増殖(SC)を、それら幾つかのモデルのために最適化し、特徴付け、ゲムシタビン療法に対する反応を評価しました。

コーヴァンスにおける膵臓癌細胞株
コーヴァンスにおける膵臓癌細胞株

PANC-1

PANC-1は膵臓管腺癌を持つ56歳の白人男性から単離されたものです。皮下腫瘍増殖は信頼性と一貫性に優れ、腫瘍の倍加が5日ごとに起こり、インプラント後およそ29日後には評価サイズ(~750mm3)に達します。ゲムシタビン(160mg/kg)を用いた治療は忍容性が良く、統計的に意義のある腫瘍増殖遅延を生み出しますが、治癒には至りません(図表1と2を参照)。

標準誤差を加味した皮下PANC-1平均腫瘍組織量
標準誤差を加味した皮下PANC-1 体重変化パーセンテージ

 

Capan-2

膵管腺癌を持つ56​​​​​​​歳の白人男性から単離したCapan-2は、PANC-1 よりも若干皮下腫瘍増殖が遅く、腫瘍容積倍加時間は約12日、評価サイズ(750mm3)に成長するまでの期間がインプラント後約36日間です。ゲムシタビン(112mg/kg)を用いた治療は忍容性が良く、統計的に意義ある腫瘍増殖遅延を生じさせ、多数の無腫瘍生存者を生み出しています(図表3と4を参照)。

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Bx-PC-3

Bx-PC-3 は、膵臓腺癌を持つ61歳の白人女性から単離されました。皮下腫瘍増殖は容積倍加までの時間が約16日、評価サイズ(750mm3)に達するまでの時間はインプラント後約38日です。ゲムシタビン(80mg/kg)を用いた治療は、忍容性は良いのですが統計的に意義ある腫瘍増殖遅延を発生させることはできませんでした(図表5と6を参照)。

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MIAPaCa-2

MIAPaCa-2は、膵臓癌を持つ65歳の白人男性より単離したものです。このモデルは非常に活発な皮下腫瘍増殖を見せ、容積倍加までの時間が約3日、評価サイズ(750mm3)に達するまでの時間が、インプラント後約21日です。ゲムシタビン(160mg/kg)を用いた治療は忍容性が良く、統計的に意義ある腫瘍増殖遅延を見せ、研究において無腫瘍生存者を一人生み出しました(図表7 と8を参照)。

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標準治療に対する臨床反応と同じく、前臨床の治療反応も使用される腫瘍系統によって大きく異なります。ゲムシタビン療法に対する反応の有無には、多くの要素が関係しています。しかし、同じ指標の中で幾つかの異なった腫瘍系統を見比べることは、新しい治療法がクリニックにおいてどの程度効果的かを知るのに、鍵となる情報を提供することがあります。

 

当社の膵臓モデルにご興味がありましたら、ぜひ お問い合わせください。

1Siegel R. L., Miller K. D. & Jemal A. 癌統計, 2015. CA 癌 J Clin 65, 5-29 (2015). [PubMed]

 

注:各試験は、AAALAC 認定の施設で所定の動物倫理に従って実施されています。