ファイル
コーヴァンスブログ - 医薬品開発におけるイノベーションの共有
公開
 
    • エピジェネティック変化を検出するための次世代シーケンシングの使用-臨床オンコロジーへの影響


      投稿者:
      公開: 2013年6月17日 3:39 AM

      エピジェネティック変化を検出するための次世代シーケンシングの使用-臨床オンコロジーへの影響

      同じ遺伝子構造を持つ一卵性双生児は、どのようにして異なる疾患を経験することになるのでしょうか。科学者たちはエピジェネティックマークあるいは化学的タグが遺伝子の活動を制御する役割を担っていると考えています。エピジェネティック環境の研究によって、癌を含む多くの疾患の発見、治療および予後において、近年飛躍的な進歩を遂げることができました。

      これらの飛躍的進歩は、一つには大規模な癌ゲノムのマッピングへの取り組みと、高処理 の次世代シーケンシング技術コストの急激な低下と相まったことによるものです。突然変異の同定およびエピジェネティクス解析は、信頼性のあるバイオマーカーを発見し、標的療法を開発するための次のフロンティアです。

      次世代シーケンシングのプラットフォームは、突然変異研究およびエピジェネティクス研究には、特に力を発揮します。DNA、RNA、ミクロRNA、全ゲノム、エクソーム、ターゲット、チップ配列、メチローム、エピゲノムなど、複数のシーケンシングの方法を通して、ゲノム全体を迅速に解析することが可能だからです。その結果、研究者は包括的かつ臨床的に関連するデータセットを取得できます。

      結果として得られたこれらのデータを利用して、計算生物学者は治験からのデータセットとオープンソースのデータセットを併せて利用し、有望だと思われるバイオマーカーの選択肢を絞り込むことができます。

      高感度なプラットフォームを活用して、コーヴァンスのゲノミクスラボは個別化医療向けカスタムパネル開発の経験と実績を重ねてきました。高処理のアッセイは今ではより安価に実施でき、所要時間も最短で 1 日と短くなりました。

      CGL は最近、癌予防との関連性が知られている腫瘍抑制タンパク質、p53 用の変異検出パネルを開発しました。このプロジェクトで CGL は、治療済みサンプルの遺伝子 p53 の突然変異解析を特定するため、腫瘍ゲノムの数千ものベースを分析するという難しい作業に直面しました。

      CGL は次世代のシーケンシングを用いて、p53 の既知の突然変異状態を要する特別な治療のためのこのアッセイを 5 日という短時間でこなしています。以前の「従来型試験法」は次世代シーケンシングに比べて確実性が低く、必要な範囲を十分にカバーしていませんでした。結果データは、患者様を治験にリクルートあるいは除外するかどうかの決定に使用することができます。また、このアッセイは将来の臨床検査薬に関しても可能性を有しています。

      突然変異の特定と疾患の分類

      個別の不均一性や疾患のマッピングが模索されるこの新しい時代においては、疾患と関連し薬物療法と連携する遺伝子とエピジェネティックマーカーの特定を念頭に置いて、パネルを開発する必要があります。

      従来のバイオマーカーの検出は、突然変異の種類によってそれぞれ異なる薬剤を用いることもあったため、癌と関連する突然変異の特定から始まるものでした。疾患の層別化に際して、エピジェネティック情報は極めて的確に疾患を特性化し、行動方針の提案に役立ちます。

      腫瘍がゲノム的に階層化されると、どの遺伝子突然変異が特定の分子サブタイプをプログラムしているのかを、研究者が理解しやすくなります。ある遺伝子は細胞増殖を制御する積極的役割を持ち、またある遺伝子は他の遺伝子の活動を調整することで、疾患に対してより間接的な役割を持つこともあります。多重突然変異を特定し、腫瘍の変動の生物学的基礎を理解することで、その遺伝子異質性または欠落を指摘できる可能性があります。

      診断の潜在性 - 遺伝的変異とエピジェネティックマーカーのスクリーニング

      基礎研究と前臨床開発を超えて、患者様ケアにおける個別化パネルの影響を想像することもできます。その仮定では、血液のサンプルから、患者様の遺伝的変異やメチル化などのエピジェネティックマーカーをスクリーニングすることも可能になります。最近の研究でもすでに、血漿から DNA を取得しシーケンシングすることで、この原理が侵襲的生検による突然変異特定に代わる手段、あるいは相補的なアプローチになることが証明されています。

      健康な患者様の場合は、個別化パネルによって早期の予防処置が可能になり、健康的な生活様式の変化を促すことが見込めます。また、疾患がすでにある場合、医師は再発に関連のあるマーカーまたは突然変異を特定し、標的医薬品の推奨や、生存率のより正確な予測、またはそれまでの治療の作用に関する一層の研究に役立てることができます。

      この進歩を発見から臨床での実用まで発展させるために、CGL のゲノミクス専門家はその知識と専門性をコーヴァンスのより広いネットワークで活かすことができます。世界のラボや臨床試料へのアクセスを活用すれば、CGL は腫瘍のサンプルから結果まで、重要な患者データを提供できます。Ingenuity Systems との別途の提携を通じて、コーヴァンスゲノミクスラボでは大規模なデータセットの管理、分析、顧客との簡潔な共有も可能です。

      CGL では、非常に少ない入力サンプルから始めて、高解析の突然変異分析および RNA シークエンシングを CLIA 認証ラボならではの品質および再現性で提供することができます。

      下流の治験に役立つ重要な選択を行い、除外データを提供するために CGL が整えた設備について、その詳細は CGL までお問い合わせください。

      参照

      プラズマ DNA のシーケンシングによる癌治療に対する獲得耐性の非侵襲分析 (Non-invasive analysis of acquired resistance to cancer therapy by sequencing of plasma DNA)。Muhammed Murtaza、Sarah-Jane Dawson、Dana W. Y. Tsui、Davina Gale、Tim Forshew、他。Nature 497, 108-112 doi:10.1038/nature12065

      Muhammed Murtaza、Sarah-Jane Dawson、Dana W. Y. Tsui、Davina Gale、Tim Forshew、他。プラズマ DNA のシーケンシングによる癌治療に対する獲得耐性の非侵襲分析 (Non-invasive analysis of acquired resistance to cancer therapy by sequencing of plasma DNA)。Nature 2013年5月2日;497(108-112)。Doi: 10.1038/nature 12065。Epub 2013年4月7日。

    カテゴリ: 臨床検査, 医薬品開発 タグ: , , , , , 投稿者: をブックマーク 固定リンク

    Anup Madan 博士の紹介

    Anup Madan 博士はコーヴァンスで、シークエンシンググループの主任科学者兼ゲノミクス / アソシエイトディレクターを務めています。次世代シークエンシングプラットフォームの開発、コーヴァンスゲノミクスラボの中核となるサービスとしての配列ベースのアッセイの提供、およびさまざまな治験をサポートする新しい MDx アッセイの開発を担当しています。博士は、ヒトゲノムのシークエンシングにおいて重要な役割を果たし、脳腫瘍発症の理解に大きく貢献しました。Science、Nature、Cancer Research など名高い学術誌に幅広く論文を発表しています。インドのムンバイにあるタタ・インスティテュート・オブ・ファンダメンタル・リサーチで、遺伝生化学の博士号を取得しています。