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    • NASH の臨床転帰評価:適切なエンドポイントを


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      Published On Apr 27 2016, 3:41 AM

      非アルコール性脂肪性肝炎 (NASH) は、症状が深刻になると肝硬変や合併症を引き起こし、肝臓癌や肝移植のケースに発展することがあります。こうした患者様の多くが、やがて肝疾患や心疾患で亡くなります。NASH の医薬品開発では今、臨床転帰を改善し、それを実証することが課題となっています。しかし、発症するまでに何年もかかる肝硬変を長期間にわたって研究して治療薬の効果を見極めることは難しいのが現状です。バイオ医薬品メーカーは、一刻も早く患者様に新薬を届けるためにも、一定期間内で疾病の進行を評価できる信頼性の高い代用エンドポイントを取り入れなければなりません。

      誘発する肝疾患はさまざま

      NASH には、誘発する可能性のある障害や合併症が数多くあります。 そのため臨床転帰研究では、死亡例全体と肝障害による死亡例のほかに、次のようなエンドポイントを評価 NASH の臨床転帰評価しなければなりません。

      • 門脈圧亢進症。肝臓の損傷による慢性障害で、 線維化や瘢痕化を引き起こし、最終的には正常な肝組織が再生性結節に変わります。門脈圧亢進症は、こうした症状の悪化とともに発症します。
      • 門脈圧亢進症では腹水が蓄積します。利尿剤を使ったりナトリウムの摂取を控えることで効果はありますが、治療が難しいケースもあります。

      • 肝性脳症。 肝臓が硬変化し、正常な肝臓が取り除くはずの有毒物質が蓄積するため、患者様は神経系の損傷や認知機能障害に苦しむことがあります。認知機能が正常なもの(グレード 0)、症状の最も軽いもの(グレード 0)、異常が顕著なもの(グレード 1~4)に重度が分かれています。
      • 胃食道静脈瘤 / 静脈瘤出血。 肝硬変の患者様の半数近くに、血管の拡張が見られます。門脈圧亢進症でも見られますが、これが結果的に静脈瘤出血を引き起こす可能性があります。
      • 肝腎症候群。 肝臓の損傷が慢性化した結果、腎機能の低下や腎不全を発症します。これは極めて深刻な合併症です。
      • 肝細胞癌 (HCC)。 慢性の肝臓病や肝硬変を持つ患者様が発症する癌です。最近の研究では非アルコール性脂肪性肝疾患 (NAFLD) の肝臓に硬変化がないケースで増えていることが明らかになっています。反対に硬変化のある NAFLD には増加は見られません。 脂肪肝には、硬変化がない場合でも肝臓がんにつながる重大なリスクがあることをこの結果は示しています。

      一定期間の臨床転帰症例数が少なくなることから、臨床転帰試験では現在、代用のエンドポイントがプライマリーエンドポイント(主要評価項目)として認められています。

      • 肝硬変。 臨床転帰ではステージ F4 まで組織の線維化が進むことが予想されます。肝硬変への進行を組織学的側面から予防するためにも、長期の治験で合理的な代用エンドポイントを取り入れることが大切です。
      • 末期肝疾患モデル (MELD) スコア。 末期の肝疾患を患う十代 / 成人患者様の死亡リスクを知るうえで信頼性の高い手法です。疾患の重症度と生存する確率の指標に用いられます。患者様の血清ビリルビン、クレアチニン、プロンビン時間(国際標準比 (INR))が数値化されています。妥当なエンドポイントは 15 以上で、スコアが 10~19 の場合、入院患者様の 3 か月生存率は 6% という予測になります。

      暫定的な代用エンドポイント

      制約をいくつも抱える肝生検ですが、今なお NASH の進行が最もよく分かる手法です。前述しましたが、肝疾患を発症して死亡するケースは肝硬変が原因であることが多く、それを食い止めるのが NASH 治療における第一の目標です。肝硬変の進行は、合理的な代用エンドポイントによって組織学的に予防することができます。しかし、NASH は線維化が 1 ポイント進行するのに 6~7 年かかることも珍しくありません。NAFLD 活動性スコア (NAS) や組織学上の NASH 線維化改善策など、そのほかの有効な代用エンドポイントもフェーズ IIb、フェーズ III の治験に盛り込んでいく必要があります。

      NAS は肝臓の損傷度を比較的客観的に評価できる手法で、治験で病態の変化を知るのに役立ちます。肝臓の脂肪変性、小葉炎症、臓器肥大の測定結果が 0~8 のスコアで示されます。このスコアが 5 以上あれば NASH を疑いますが、確定というわけではありません。組織に特定の異常が見られた場合に NASH と診断します。

      NASH の病期を判定する有効な手法を、治験での病態変化の評価に利用するべきです。現在、最も有効性が高いとされているものに、線維化の度合いを判定する NASH 臨床研究ネットワーク (CRN) というシステムがあります。このシステムでは、線維化がまったくない状態から肝硬変に至るまでを計 0~4 の範囲でスコア化することができます。

      NASH 治療における開発において

      概念実証からフェーズ III の医薬品開発で、有効性の評価項目となる代用エンドポイントについてご説明します。

      • 概念実証。 一般的に、12~24 週間の概念実証試験で生検が含まれるエンドポイントを設定するのは実用的ではありません。患者さんが 16~24 週間の間に肝生検を 2 回受けるのを嫌がる可能性があるほか、短期間では組織の変化もそれほどはっきり分からないことがあります。肝脂肪変性の病態改善の判定には、磁気共鳴技術を用いる方が適切な場合もあります。炎症、アポトーシス、線維化を調べる非侵襲性のバイオマーカーやアラニン アミノトランスフェラーゼ (ALT) の進歩が、化合物の有効性を評価するうえで研究者の手助けとなることも考えられます。
      • フェーズ IIb。 組織学的エンドポイントになるものが 2 つあります。1 つ目は、線維化が悪化することなく NAS スコアが最低 2 ポイント変化すること、そして 2 つ目は NASH の完全消失(肥大スコア 0 / 炎症スコア 0~1)です。セカンダリーエンドポイント(副次的評価項目)と探索的エンドポイントには、NAS スコアの各項目(脂肪変性、臓器肥大、炎症)、線維化の変化、症状の改善、BMI 値の変化、インスリン感受性、心血管リスクプロファイル、細胞の損傷 / 炎症 / 酸化ストレスのバイオマーカー、生活の質、入院率、経済的エンドポイントを採用することができます。
      • フェーズ III。 典型的なプライマリーエンドポイントに、「線維化悪化のない NASH 完全消失」があります。その際「線維化が最低 1 ポイント改善して NASH の症状悪化がないこと」を共通のプライマリーエンドポイントに設定します。セカンダリーエンドポイントと探索的エンドポイントには、フェーズ IIb と同様の項目を用いることができます。

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      詳細は、NASH 医薬品開発に関するウェビナーをご覧ください

    カテゴリ: Clinical Development, Drug Development タグ: , by をブックマーク permalink