ナチュラルキラー細胞と新しい非放射性アッセイのアプローチの力を理解する

ナチュラルキラー (NK) 細胞に初めて「キラー」という名前が付けられたのは 40 年ほど前のことです。リンパ球が、ウイルスや腫瘍細胞に感染した宿主細胞を破壊しながら素早く免疫反応を起こすのが確認されたことがきっかけでした。 NK 細胞は当初、あらかじめ活性化されなくても自発的に付着するかのように思われました。研究を続けるうちに、活性と機能をつかさどる分子のメカニズムの詳細が明らかになりました。

今日、NK 細胞アッセイは安全性評価の一環として免疫毒性の特殊研究に利用されています。コーヴァンスでは、NK 細胞の機能分析の実施や、細胞数計測のための標準的な免疫表現型検査の役割についてお客様から尋ねられることがよくあります。 この記事では NK 細胞生物学における先天的な免疫を簡単に説明するとともに、アッセイの各手法を比較しながらそうした疑問に答えていきます。

先天性免疫と適応免疫のバランス

T 細胞および B 細胞は、適応免疫において主要な働きをします。免疫反応が遅い場合((4~7日)、それぞれの細胞がひとつの抗原のみを認識するため非常に特異的で、長期的な免疫記憶につながります。適応免疫は、基本的なパターン認識が不十分な場合に当人を守る、スマートで柔軟かつ変化する反応システムとして注目を集めています。

図 1。NK 細胞アッセイの概要。

先天性免疫のカテゴリーに属する細胞は非常に素早く、非特異的で、それぞれの細胞が多くの病原体と戦うために寿命が長くはありません。初期の適応免疫反応で応答が生成される間に、先天性免疫が感染を防御することができます。たとえば、好中球がまず初めに病気の原因となるバクテリアやウイルスなどを攻撃します。次にマクロファージが死滅したウイルスや細胞などを取り込み、適応免疫系に提示します。

共に作用することで、先天性免疫システムと適応免疫システムは、バランスの取れた免疫を獲得するための重要な要素であるホメオスタシスを維持します。

NK 細胞固有の機能

免疫細胞は、感染した細胞表面に出現する主要組織適合遺伝子複合体クラス I (MHC-I) を主に検出します。それによりサイトカイン放出を誘発し、溶解やアポトーシス(管理・調節された細胞の死滅)が起こります。 MHC-I マーカーのない有害な細胞は、T リンパ球など他の免疫細胞によって検出または破壊されることはありません。

NK 細胞は、抗体や MHC-I の発現が見られないストレスを受けた細胞を認識し、素早い免疫反応を起こすという独自の機能があり、ウイルス感染や癌細胞の重大な防御機構の役割を果たします。

特定の免疫エンドポイントアッセイの比較

NK 細胞活性化アッセイについては、ICH のガイダンス「S8 医薬品の免疫毒性試験 (Immunotoxicity Studies for Human Pharmaceuticals)」に記載がありますが、このガイダンスはかなり曖昧なものです。スポンサーの多くは、明確な手順に沿った説明をコーヴァンスの専門家に求めます。大まかに説明すると、エフェクター細胞は NK 細胞を含み、ターゲット細胞には MHC-I の発現はありません。エフェクターとターゲット細胞を異なる比率で共培養すると、ターゲット細胞の細胞死を測定することができます。

NK 細胞活性化アッセイは利用可能なものが複数あり、それぞれに独自の評価方法があります。ハイスループット クロム-51 (51Cr) 放出アッセイは40年以上前から使われ、代表的なアッセイとして知られています。MHC-1 発現の少ないターゲット細胞を含むアッセイは、放射性クロムに識別されます。ターゲット細胞が NK 細胞に攻撃・破壊されると、51 クロムが自然に放出されます。その放出を測定することで、NK 細胞の機能を評価することができます。

しかし、放射性物質を製造・処理し、適切に廃棄物を処分するという要件のため、51Cr はいくつかのアッセイにとって代わることになりました。ICH S8 ガイダンスはこの移行について認識し、「バリデーションが適切に行われれば、非放射性のラベルを利用する新しい方法を使用しても問題ない」と説明しています。新しい方法には以下のようなものがあります:

プレートベース比色アッセイ: 51Cr 放出アッセイと同様に、プレートベース比色アッセイは細胞が死滅して酵素が放出される際、ウェルの光学密度の酵素シフトを引き起こすターゲット細胞内の酵素を利用します。このシフトは、NK 細胞の効果を測定することで把握できます。これはスループットの高い方法ですが、ターゲット細胞とエフェクター細胞の死滅を識別することはできません。

プレートベース蛍光アッセイ:プレートベース法と同様に、蛍光プレートリーダーを用いた蛍光ベースアッセイによる方法は、スループットが高いことで知られています。しかし社内でのバリデーションでは、カルセイン-AM(アセトキシメチル)によるターゲット細胞の不均一なラベリングとカルセイン-AM の自然放出など、いくつかの制限があることが分かりました。

フローサイトメトリー:この方法では、ターゲット細胞とエフェクター細胞の数をそれぞれ計測することができます。フローサイトメトリーは、単一の細胞ベースで細胞死を計測し、生細胞を監視して、研究における有意義な補足的エンドポイントを可能にします。これはスループットの高い方法とは考えられていませんが、コーヴァンスはアッセイをプレート上で実行し、それを当社のサイトメーターに移してターゲット細胞死を測定することにより、制限を補いました。

NK 細胞活性化アッセイを実行することは、特に異なる時点において結果を評価する場合には、明瞭なプロセスではありません。しかし事前の計画やバリデーションされたプロセスがあれば、NK 細胞の機能的分析は発見・開発から臨床まで、さまざまな免疫毒性エンドポイントをサポートすることができます。

Aric M. Frantz(獣医学博士)

Frantz 博士は、コーヴァンスのマディソン支社で免疫毒性学の科学・施設リードを務めています。免疫毒性学者として提携サイエンティストまたは治験責任医師および分担医師のポジションを兼任し、免疫毒性学のデータの解析や報告を行う立場にあります。Frantz 博士は、研究結果の解釈、分析、文書化から報告まで、毒性学研究の技術面における実務全体の責任者です。博士は 15 年以上に及ぶ学術研究の経験があり、ミネソタ大学では 2013 Dr. Alvin Webber DVM/PhD Scholarship Award および 2011 Doctoral Dissertation Fellowship を授与しました。コーヴァンスに入社する前とミネソタ大学の比較病理学の基幹施設において、新規の免疫化学技術、染色および準備に携わったほか、顧客、症例およびプロジェクトの状況を追跡するための電子システムを開発しました。また、ミネソタ大学で比較・分子生物学博士号、獣医学博士号を取得しています。

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