TDAR アッセイによる In Vivo 評価および検査

免疫系は、細菌、ウイルス、化学薬品、異質細胞、異組織といった異物や生物学的製剤に対する体の主要な防御機能です。免疫反応にはリンパ球(白血球の一種)の特定の作用を含み、好中球、単球、マクロファージ、好酸球、好塩基球といった他の白血球によって促進されます。免疫系とは、負の反応によって制御されるシステムとも言えます。つまり、通常は自己調整によって異常や侵入の影響を抑える働きをします。

免疫毒性は化学物質が免疫系に及ぼす影響のことで、免疫機能の抑制、アレルギー反応、自己免疫疾患やその他の作用の誘発がこれにあたります。また T 細胞依存性抗体産生 (TDAR) は、複数の免疫プロセスの効力に依存する免疫機能を指し、そのプロセスには異物(抗原)の取り込みと発症、T 細胞ヘルプ、B 細胞活性化、抗体産生などがあります。

TDAR アッセイは免疫毒性の In vivo 評価において優れた選択肢です。動物の薬理学研究では、対象薬剤の有効性評価に常に使用されているほか、治験でも生物学的影響に関するエビデンスはこのアッセイから取得します。また原発性 / 続発性免疫不全症を持つ患者様の免疫機能評価にも用いられます。TDAR アッセイは、創薬の前臨床段階で薬剤の免疫能力への影響を調べるための標準的手法と捉えられています。

TDAR アッセイは融通が効きやすく、複数種の抗原と各種分析法を使って抗体反応を測定するようにすれば、さまざまな試験デザインに応用することができます。さらに、冷凍の血清中の抗原にも対応するため、より安定性の高いサンプルを用いた柔軟な分析が可能になります。ただ重要なのは、抗体が「既知」の場合と「新規」の場合で免疫反応が異なるということです。というのも、正常に機能している適応免疫系が抗原に対して未感作なのは一回のみで、いったん抗原に暴露されると「認識」して「記憶」する反応(どちらもより速く、抗体に特化)が起こります。その点 TDAR アッセイではナイーブな反応と記憶反応の双方を捉えることができ、免疫機能の状態を知る重要な手がかりを与えてくれます。

TDAR アッセイに最もよく選ばれている抗原がキーホールリンペットヘモシアニン (KLH) です。破傷風トキソイドも使用されてきました。コーヴァンスでは、新しい免疫反応を起こさせて継時的な一連の測定を可能にしようと、さらに B 型肝炎 (HepB) 抗原を TDAR アッセイに導入しています。 HepB は乳児に対して安全に使用できると考えられていることから、特に DART 研究に向いています。

TDAR アッセイでは、薬剤が免疫系に与える影響を複数の面から評価することができます。2 種類の抗原が使えるというのは、同じ動物を用いて生存中の異なる時期にナイーブな抗原認識を調べることができるということで、これには大きな意味があります。たとえば、研究に幼齢期または幼児期の TDAR アッセイが含まれていた場合、まずは HepB を使用して TDAR アッセイを行い、研究の後半で KLH を新規抗体として使用して免疫系機能に長期的影響がないか確認すること、つまり生存期間後期に再びナイーブ反応と記憶反応を完全な形で評価できるわけです。

選べる抗原候補が多様であれば、薬剤候補に関するより充実した有益なデータセットが生まれ、それがサイエンティストのデータ分析・解釈におけるパフォーマンスの向上につながります。

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