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コーヴァンスブログ - 医薬品開発におけるイノベーションの共有
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      • 患者様の声を取り入れて潰瘍性大腸炎のリクルートを向上


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        公開: 2018年12月05日 1:12 PM

        今でも潰瘍性大腸炎 (UC) のはっきりした原因は分かっていませんが、UC は一生を通じて大腸の炎症を起こす慢性疾患で、米国では約 700,000 人がこの病気を抱えています。治療にはさまざまなオプションがあるものの、医薬品開発のスポンサーは、炎症のコントロール、寛解の実現、再発防止を目指してさらなる方法を模索しています。

        この疾病について研究を進めて効果的な治療法を開発することは急務であるにも関わらず、UC 患者様の 90% 近くが一度も治験に参加していません。そのため、研究対象の患者様が不足しており、さらに、多数の研究のなかで競争が激化し、適格な治験責任医師 / 分担医師も不足していることから問題は深刻化しています。

        そこで炎症、感染症、一般内科の業務戦略・計画担当、グローバル治療領域のリーダー、Joan Meyer 医師は最近チームと話し合い、炎症性腸疾患の治験に対する患者様の意見をより理解して、患者様中心の臨床戦略を立て、治験に向けたリクルートを改善しようと試みました。

        潰瘍性大腸炎リクルート

         

        患者様の声を取り入れる

        UC の症状は消耗性である可能性もあるため、患者様は医師と継続的にコミュニケーションとりながら状態を管理しなければなりません。医療提供者と非常に近い関係でありながら、一体何が患者様を治験から遠ざけているのでしょう?​​​​​​か​ Meyer 医師のチームは患者様の考えを理解するため、洞察力を活かした調査を実施しました。

        方法はオンラインでのアンケートです。米国、英国、ブラジル、メキシコの炎症性腸疾患の患者様を対象に、治験への参加意志や治験の過程で気になることなどについてさまざまな質問をしたところ、320 件の回答が寄せられました。

        「気になることで一番多かったのは、薬の副作用でした」と Meyer 医師。「つまり、インフォームドコンセプトのプロセスをはっきりさせないといけないということです。スポンサーと CRO は、こうしたもっともな懸念に講習を受けたクリニックが対処できるよう努めなければなりません。」​​​​​​​​​​​​​​

        コーヴァンスのチームは、 治験終了後も薬を無料で利用できることを知っていれば患者様の治験参加意欲が増すことも突き止めました。 「こうしたことを総合すると、スポンサーが非盲検継続試験を盛り込むことができれば、患者様の維持につながるかもしれません」と Meyer 医師は語ります。非盲検継続試験は、化合物の長期的な安全性データが得られるという点でもメリットです。​​​​​​​

        ギャップをなくして意識を啓発

        また調査では、患者様が治験での体験をフィードバックとして評価する機会を望んでいることが分かりました。「有害事象やデータの収集・取り扱いをめぐる問題を恐れて、終了時の面接に抵抗を感じるスポンサーもいます」と Meyer 医師は言います。「でも私は、適切な手法を使って患者様の考えを知ることで、ギャップをなくし、今後の研究に役立てていくことができると思っています」

        さらに調査の回答者たちは、情報を患者支援団体から受け取りたいと考えていました。「前にも聞いたことがありますが、スポンサーは患者支援団体との接点を作って研究の目的を共有するようにしなければなりません。共同の取り組みを通じて、会員全体の研究に対する意識を啓発することができます」

        競争状況の拡大

        また、UC などの炎症性腸疾患の研究では、積み重なる研究施設ネットワークの制約のなかで患者様のリクルートを行わなけらばならないことが課題となっています。「医薬品開発のスポンサーの多くは、今も化合物の評価を行っているわけですが、UC の治験責任医師・分担医師の数は限られています」と Meyer 医師は説明します。「なかには 4 つ 5 つの治験に関わっている医師もいて、新しい治験に患者様をリクルートするのが難しかったり、リクルートしていても各治験に 1 人か 2 人だけというケースがあります。つまりもっと施設が必要なわけですが、それには多額のコストがかかります」​​​​​​​

        Meyer 医師のチームは、名の知れた UC 治験責任医師・分担医師たちを分析し、彼らがどれほどの数の研究に携わり、何人くらいの患者様を担当しているのか調べました。「驚くまでもありませんが、関わっている研究が多いほど、ひとつの研究で担当する患者様の数は少なくなっていました」と Meyer 医師。「これは、需要の高い施設の利益減少にもつながります」

        コーヴァンスのチームは、飽和状態にあって新しい研究ができない施設を対象に、アウトリーチの対象となる数百の施設を明らかにするため、患者様の参加状況を調べました。また、通う距離がどの程度までなら治験に参加しても良いと思えるかを判断するため、患者様調査のデータも含めました。そして施設の場所の情報と、UC 患者様集団から所定の範囲にいる医師の情報をまとめ、コーヴァンスは、それまで利用されていなかった施設を集めた専門研究臨床施設の有用なリストを作成しました。

        こうした治験責任医師・分担医師候補のリクルートの取り組み、そして治験参加をめぐって患者様が抱える懸念をよりよく理解することで、Meyer 医師はスポンサーのリクルートのプレッシャーを和らげ、やがては UC 患者様の治療オプションを充実させることができると考えています。

        ケーススタディでは、コーヴァンスがリアルワールドデータを使ってスポンサーの UC リクルートの取り組みを支援した事例をご紹介しています。ぜひご覧ください。

      カテゴリ: 臨床開発 タグ: , , 投稿者: をブックマーク 固定リンク

      Joan Meyer 博士について

      Joan Meyer 博士はコーヴァンスで、炎症、感染症、一般内科の業務戦略・計画グローバル治療領域のリーダーを務めています。製薬と CRO の分野で 25 年以上の経験を有し、プロジェクト管理、戦略的マーケティング、研究立ち上げにおいてリーダーの役割を担っています。また、Ohio River Valley and National Arthritis Foundations でも各種の管理職に就いています。Meyer 博士はミネソタ州のセント・メアリーズ大学を卒業、生物学および心理学の学士号を取得しました。イリノイ大学アーバナシャンペーン校で神経科学の理学修士と博士号を得て、同校の医学部では教鞭も取りました。