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      • PK データの非コンパートメント分析:効率を高めて SEND 要件を満たすための注意事項


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        公開: 2018年5月16日 3:14 PM

        創薬プログラムの初期段階で収集された PK データを使うと、 科学者の写真化合物の作用機序の洞察を得て、対象である特定の属性を割り出し、意思決定ポイントを導いて、その後の医薬品開発を最適化することができます。PK のパラメータを計算するにあたっては、最適な解析技術を選択しなければなりません。

        この記事では、PK データの非コンパートメント分析(NCA)が、規制に関する書類申請、予測シミュレーションの作成、研究者によるリード分子や製剤の選択にいかに役立つか考えます。また、異なるアプローチと特異な結果では調査を遅らせ、プログラム全体に一貫性を欠くことになる恐れがあるため、データ処理についても考察します。最後に、バイオロジックスを扱う際の独自の注意点、非臨床データ交換のための標準(SEND)に合わせてフォーマットした規制に関する書類申請の難しさについても取り上げます。

        サンプリングスキームの設定

        プロトコル開発は、試験責任者や薬物動態学者と研究のエンドポイントを討論する理想的な時間です。確実で効率的なサンプリングスキームは、重要な PK パラメータから逆行分析するのが最適です。まず始めに、最高血中濃度(Cmax)、最高血中濃度到達時間(Tmax)、濃度曲線下面積(AUC)を取得することが広く重要となります。吸収中の追加サンプルの収集(吸収速度定数(Ka))と最終消失相(半減期、クリアランス、分布容積(それぞれ t1/2、CL、Vd))は、トランスレーショナルシミュレーションおよび予測、より高度な薬物動態/薬理(PK / PD)の開発や改善、生理学に基づいた薬物動態(PBPK)モデル、および用量レベルや頻度の戦略的な調節のためのコンパートメントモデル作成に適切なパラメーターを決定するうえで、同じくらい不可欠です。

        毒性学研究においては、トキシコキネティクス (TK) パラメータは二次的なエンドポイントであり、したがってサンプリングスキームはより脆弱です。図 1 は限定的なサンプリングスキームで消失を特性化するリスクを示します。曝露への注力、そして最終的には安全性マージンを実現するには、Cmax と AUC に重点をおいた必要最低限のアプローチを検討すべきです。さらに、追加のトラフサンプルを投与フェーズで投入すると、蓄積の程度や発現に関する重要な情報を得ることができます。一方で、回復フェーズで収集すると、より半減期の長い化合物、特にバイオロジックスの PK 研究でみられる類似の消失速度を確認するうえで役に立ちます。

        図 1:消失フェーズにおける追加時点を示す血中濃度 - 時間プロフィール

        データ処理の管理

        サンプリングスキームの議論と並行して、データ処理や予期しない研究イベントの計画もまとめておくべきです。前臨床の領域においては、PK 投与ウィンドウ内の研究モデルからの血液量および研究に含まれるリサーチモデルの数が限られていることで、結果の精度に限界があります。したがって、SOP 定義の逸脱が記録されていない限り、名目投与量とサンプリング回数を使った単純なデータ処理のアプローチが一貫したパラメータを生み出し、我々の経験からしても業界の大多数から好まれています。

        業界内で意見がさまざまに分かれる領域は、定量下限未満(BLQ)の濃度の取り扱いです。バイオ分析の手法は感度がより向上したため、図 2 にあるように、BLQ 値によって影響を受けた AUC は減っています。慎重な毒性学研究のアプローチをとって無条件に BLQ をゼロとして扱うことで、いかなる服用レベルで曝露を最小限にし、将来の予測が水増しした値に基づくものでないようにすることができます。一貫性を保つため、PK 研究にもこのアプローチをお勧めします。最終的には、BLQ 処理の基準を選択する際に最も重要なのは、プログラム全体に一貫性を持たせることです。そうすることで、規制に関する書類申請のためにパラメータを計算してデータを取りまとめる際に、同じ前提に立つことができます。

        図 2:BLQ の取り扱いが異なることによる影響を示す血中濃度-時間プロフィール

        より慎重な毒性学研究のアプローチをとって無条件に BLQ をゼロとして扱うことで、いかなる服用レベルで曝露を最小限に抑え、将来の予測が水増しした値に基づくものでないようにすることができます。一貫性を保つため、PK 研究にもこのアプローチをお勧めします。最終的には、BLQ 処理の基準を選択する際に最も重要なのは、プログラム全体に一貫性を持たせることです。そうすることで、規制に関する書類申請のためにパラメータを計算してデータを取りまとめる際に、同じ前提に立つことができます。

        バイオ分析データを受け取ると、薬物動態学者は、サンプルの調整、試験実施に関する評価、異常値の有無などの影響がないか念入りにチェックします。異常値が見つかった場合は、たとえば、投与のし忘れ、サンプル収集の時間、経口投与後の嘔吐や、不適切に希釈されたサンプルやサンプルの取り違えといった生物分析の観点から、試験実施における根本原因がなかったかどうか調査することを検討してください。

        原因が見つからなかった場合は、ディクソン Q テストなどの統計的検定を実施して、その値が外れ値かどうか確かめることができます。試験の実施や生物分析に影響を受けた外れ値は、データを解釈するうえで除外できます。一方で外れ値でない異常値は、PK 結果に含めたものと含めないものを提示できます。そうすることで読者は PK の解釈に対する全体的な影響を判断することができます。

        バイオロジックスの特別な注意事項の考慮

        組換えタンパク質技術と RNA 干渉は、高い効能と最小限の標的外毒性を併せ持つ新しい種類の分子を実現可能にしました。 業界が生物学的製剤に移行していくにつれ、モノクローナル抗体(mAb)、抗体薬物複合体(ADC)、

        低分子干渉 RNA(siRNA)など多くの種類の治療が扱えるよう、より多くのアプローチが必要となっています。当社は潜在的抗薬物抗体 (ADA) の存在といった、これらの分子が必要とする PK/TK 分析をさらに検討するにあたってのアドバイスを提供します。

        プロトコル開発の際、たとえば Cmax と Emax(最大効果)両方でのサンプル収集といった重要な PD エンドポイントの取得ができるよう、サンプル収集スキームは従来の低分子アプローチから変更することができます。mAb に関しては、回収フェーズを利用して消失の特性を解明し、標的介在性の薬物動態 (TMDD) や ADA の薬物クリアランスに対する影響を測ろうと試みたり、研究中の曝露全体を数値化することもできます。ADC については、投与に続く追加の時点を選択し、ペイロードへの曝露を判断することができます。siRNA に関しては、摂取を確認するため、肝臓 (1)、腎臓、脾臓といった主な臓器から組織サンプルを収集することが重要かもしれません。これらの化合物のプラズマデータは曝露全体を十分に表するものではないためです。

        業界は、TK レポートにおいて ADA の存在と潜在的な影響が議論されるべきであるという点については一般的に同意していますが、TK 結果を最も良く提示する方法についての合意はほとんどなされていません。そこには、ADA の状態にかかわらずすべての研究モデルを含める、暴露の影響にかかわらず ADA による研究モデルを除外する、ADA による研究モデルと暴露の影響を除外する、毒性学的知見に基づく研究モデルを除外する、これらの基準の有無にかかわらず記述統計を提示する、さらにこれらの基準の中間など様々な視点が存在します。

        当社は、さまざまな適応症および生物学的療法の薬理学および ADA アッセイで見られる変動を考慮し、ADA の影響を明確に示して、基準をプログラム全体にわたって確実に適用することを推奨します。

        SEND 要件への適合

        ひとつのプログラムにおいて異なる施設や研究から提出されるデータの一貫性を保証し、FDA がクエリと視覚化ツールをすべてのデータセットで一度に使用できるようにするために、2016年12月より IND 申請を裏付ける研究に SEND 形式のデータを添えて提出することが求められました。PK 濃度 (PC)/PK パラメータ (PP) ワークストリームグループを通じた PC および PP ドメインへの関わりによって、当社はどのように最適な SEND 申請を準備するか、また他ベンダーのために PC/PP ドメインを生成する方法について、現在の業界のコンセンサス達成に力を尽くしました。

        SEND 形式のデータは、図 3 に示すように複雑さに拍車をかける一方で、効率化のチャンスももたらします。コーヴァンスが検証済みオブジェクトを用いて構築した Phoenix® WinNonlin® ワークフローは、内部または外部ソースから提供される PC または従来の線形形式のいずれかのバイオ分析データを使用することができます。

        図 3:SEND の重要ポイント

        コーヴァンスは、PK パラメータ (PP) ファイルを SEND 申請全体にシームレスに取り入れるために、一連のサポートファイルを提供し、Pinnacle 21 検証ツールを使用して PP ドメインの結果を検証します。

        どの研究モデルがどの PK プロファイルに属するかを定義する Pool Def ファイルは、少ないサンプリングスキームを用いる研究にのみ含まれます。分析に使用される方法論、分析に組み込まれたインライフフェーズからの逸脱、PP ドメイン検証の結果を定義する PP 定義ファイルと試験データ審査担当者ガイド (SDRG) は、すべての研究に含まれます。これらのファイルは、バイオ分析データから PP ドメイン結果を忠実に直接再現することを可能にします。

        まとめると、PK データを分析する際には、考慮すべき多くの手順があります。必要なすべてのエンドポイントが確実に収集されているか確認されないまま研究が進められることも多々あり、これは重大なデータの誤りや、研究のやり直し、スケジュールの遅れにつながる恐れがあります。また、無駄な労力の原因となる偏ったサンプリングスキーム、PK パラメータの欠落、余分な調査が必要となる矛盾など、他の課題が生じることもあります。戦略について早めに議論することで、より良い結果を得ることができます。

        昨年、170 の顧客を抱えていたコーヴァンスのモデリングおよびシミュレーションチームは、業界を調査し、医薬品開発の全段階にわたり研究目標を達成するために必要な一貫した効率的なアプローチを提供するというユニークな立場にあります。 お客様のニーズに当社がどのように対応できるか、まずはご相談ください

        1 Dinkel, V., et al., Serial Survival Liver Biopsies in Dogs and Monkeys(イヌとサルにおける連続生存肝生検)。ポスター: 毒性学会 (Society of Toxicology) 第 52 回年次 SOT 総会および ToxExpo。 2013年3月10日〜14日。

      カテゴリ: 医薬品開発 タグ: by をブックマーク 固定リンク