集団 PK/PD 分析:何を、なぜ、どのように、いつ?

PK および PK/PD 分析のために、一般的に母集団 PK/PD と呼ばれている母集団モデルを作成するのは製薬開発プロセスに欠かせません。また、乳児など特定の層によっては必須となります。

母集団 PK/PD とは?

母集団モデリングとは、母集団の変動性(共変数)の元を特定し、モデリングシステムを通してそれぞれの共変量の影響を数値化することで、特定の母集団の一般的な薬物レベルと薬効(PK または PK/PD パラメータ)を推定することです。

母集団 PK または PK/PD モデリングは、非線形混合効果モデル(NONMEM)という統計的手法を用いて以下を行います。

  • PK および PK/PD の変動性を探る
  • PK や薬理に影響を与える、重要な内因性および / または外因性の要因(共変数)を特定する
  • 用量と濃度、効果の関係性を定義する
  • 母集団モデリングは、特定の母集団の典型的な PK あるいは PK/PD パラメータを推定できるため、試験責任者は治験が始まる前に薬物が他の要因とどのような相互作用があるか、予測およびモデル作成を行うことができます。

母集団 PK/PD の必要性は?

PK と PK/PD モデリングの重要な利用目的のひとつは、正しい用量をより正確に判定することです。たとえば体重、排泄および代謝機能、その他の療法の存在など、被験者の人口動態的、遺伝的、病態生理学的、そして治療領域的な側面によって、用量と濃度、効果の関係性は絶えず変化します。

主に尿により排泄される薬物ではほとんどの場合、定常状態の濃度は腎機能の正常な被験者よりも障害を持つ被験者の方が高くなります。母集団の分析はこの差異を特定・数値化し、それが用量と濃度、効果の関係性を変えるかどうか評価して、結果的に用量の調整が必要か治験開始前に判断することができます。

注:母集団 PK または PK/PD 分析に基づく投与法を薬剤のラベルに記載する必要があります。

母集団 PK/PD モデリングのしくみとは? (1)

コーバンスでは、年間何百件もの PK モデリングのシミュレーションを行っています。一般的な流れは次の通りです。

母集団 PK モデリングを使うのはいつか

従来の PK 分析(別称:個別 PK 分析)は、より包括的な母集団 PK を行う十分な時間がないときに便利です。しかし、その時間があってビッグデータにアクセスできる場合は、母集団 PK を実行することで有意義なシミュレーションと予測を行うことができ、様々な母集団の各被験者が薬剤化合物にどのように反応するか理解できます。

比較:従来の PK アプローチと母集団 PK アプローチ

主な分野:母集団 PK/PD モデリングは小児科臨床薬理で特に有効

早産児や新生児は、サンプル収集が難しいことによる過剰摂取の問題が起こりがちなため、この患者層における薬品の有効性および安全性はほとんど知られておらず、立証には実験が必要です。しかし、母集団 PK や PK/PD モデリング分析は、小児年齢の集団から得たまばらでバランスの取れていないデータセットに使用し、それぞれの年齢層に対し安全で効果的な投与法を特定することが可能です。今日、母集団 PK や PK/PD モデリングは、小児用医薬品開発において適切な投薬量および体制を選択する第一の分析方法として高く推奨されています。

参照

Jill Fiedler-Kelly による母集団 PK データ分析ワークショップ、ニューヨーク州立大バッファロー校、2015年