ファイル
コーヴァンスブログ - 医薬品開発におけるイノベーションの共有
    公開
     
      • 循環器疾患を持つ慢性腎臓病患者の治療における進歩:腎臓の健康イニシアチブから生まれる臨床研究の推奨事項


        投稿者:
        公開: 43 日前

        世界中で今、腎臓病は想像をはるかに超えるほど一般的になっています。 腎臓病を抱える患者様の数は糖尿病の 2 倍(8 億 5,000 万人)(1)腎臓に関するブログ 2 近くになり、もはや「隠れた流行病」と言っても差し支えはありません。

        慢性腎臓病 (CKD) は循環器 (CV) 疾患を併発しやすいのが特徴で、CKD の患者様は CV イベントで亡くなるケースが最も多く2、 また CV 患者様の 30~60 パーセントが腎臓病を抱えています3。

        密接な関係を持つ腎臓病と CV 疾患ですが、循環器 (CV) を扱う治験では CKD 患者様は対象外とされがちです。実際、2006年から2013年までに発表された CV 治験の最新の系統的レビューによると、半数以上(57 パーセント)の治験で腎臓病患者様が除外されています4。CKD を治験の対象外とすれば、私たちが持っている一般的な CDK 医薬品の有効性や安全性のデータと、新しい画期的な CV 治療法の価値の間にギャップが生じることになります。 

        また、CKD 患者様に対する CV 治療介入の安全性と有効性のエビデンスがないことで、CKD 患者様の CV 疾患管理は困難になります。私たちもまだ CV 疾患を持つ CKD 患者様の調査をそれほど頻繁に行っていないため、そのデータは、治験で直接研究した場合と比べると堅牢性に欠けています。

        _____________________________

        ほとんど知られていない CKD の事実

        慢性腎臓病 (CKD) は、腎臓組織または機能における異常が 3 か月続く状態として定義されています。​​​​​​​ 以下のことをご存知でしたか?

        • CKD の有病率は糖尿病の約 2 倍6、癌の 20 倍(4200 万人)(7)
        • 米国における患者様一人当たりの年間血液透析費用は 8万 8,195 ドル195(8)
        • 毎年メディケアでは 990ドルを CKD 患者様のために支出(メディケア予算全体のなんと 6%)
        • 次のようなさらに悪い結果を招く腎機能の低下(9):
          • CV イベント発生率の増加 - ステージ 4(eGFR:15〜29 ml/mim/m2)の CKD で 22、ステージ 5(eGFR:15 ml/mim/ m2 未満)では 36(100 人年当たり)
          • 驚くべき高死亡率 - CKD ステージ 4、ステージ 5 でそれぞれ 11、14(100 人年当たり)

        _____________________________

        こうした腎臓病の医薬品 / デバイス開発におけるギャップを調べているグループのひとつに Kidney Health Initiative(KHI:腎臓の健康イニシアチブ)があります。KHI は米国腎臓病学会と米国食品医薬品局 (FDA: U.S. Food and Drug Administration)による官民連携組織です。私はその役員を務めています。KHI には 90 以上のステークホルダーメンバーがいますが、私たちは、腎臓病を抱える患者様のためにより多くの医薬品や医療機器が承認されるべきと考えています。たとえば、心臓専門医の Charles Herzog 医師と腎臓専門医の Julie Ishida 医師が率いるあるワークグループは、ステージ 4 (eGFR5: 15〜29 ml/mim/m2) の CDK 患者様とステージ 5 で透析を受けている患者様をもっと CV 治験で見ていけるよう、障壁の特定や解決方法を探っています。

        前進あり:最近の KHI ワークショップ

        2017年12月に開催された Cardiovascular Clinical Trialists Forum (CVCT) では、 KHI のワークグループが CKD をテーマにしたパネルに参加し、なぜ  CKD 患者様が治験から除外されるケースが多いのか調べるため、患者様と業界のステークホルダー(スポンサー企業を含む)双方を対象とした調査をスタートさせました。その結果が、2018年9月初旬に開かれたワークショップで出席者の米国 FDA、カナダ保健省 (Health Canada)、腎臓専門医、心臓専門医、患者様、医薬品・機器スポンサーらに紹介されました。この時、私は 4 つある分科会の司会を担当しました。私の同僚でコーヴァンスの心臓病関連業務を担当している Jonathan Plehn 医師も、コーヴァンス代表として治験デザイン関連のグループに参加しました。彼はこう語っています。「この会合に行くまでは、どれほど私たちの CV 治験で CKD の患者様が対象外にされているのか気付きませんでした。その理由は、検討を重ねたものとは言えません。そういう意味で、KHI の会合は 2 つの専門領域、そして規制当局や患者様との間で見識を直接共有できるユニークな機会でした。素晴らしいコラボレーション型のミーティングです。」

        ディスカッションでグループに課されたのは、治験デザイン、実施可能性 / 資金源、患者様との関わりという 4 つの観点から課題と解決方法を見出すことでした。それぞれのグループが、調査で分かったステークホルダーの認識をもとに実用的な提案を行いました。​​​​​​​ この会合については、私が現在記事を共同執筆しています。記事は査読誌に掲載される予定ですので、ぜひご期待ください。

        腎臓病と CV 研究に関するご相談はぜひコーヴァンスへ。

        Gillespie 医師は、委員会認定の腎臓専門医で、コーヴァンス腎臓学担当バイスプレジデント兼治療部門責任者です。ノースカロライナ大学で医学部腎臓学部門の非常勤教授として、CKD の患者様にも関わっていますPlehn 医師は、コーヴァンス循環器内科担当バイスプレジデントで、Medicine at Drexel University School of Medicine の臨床医学教授でもあります。

        _____________________________

        1 http://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/diabetes

        2 Go, A.S., et al., Chronic kidney disease and the risk of death, cardiovascular events, and hospitalization(慢性腎臓病と死亡リスク、心血管イベント、入院). New England Journal of Medicine, 2004;35(13):1296-1305.

        3 Kidney Health Initiative(腎臓の健康イニシアチブ), "Kidney Health Initiative Workshop on Understanding and Overcoming the Challenges to Involving Patients with Kidney Disease in Cardiovascular Trials(「腎臓の健康イニシアチブワークショップ:循環器疾患治験で腎臓病患者を含めることの理解と課題の克服」)"

        4 Konstantinidis, JAMA IM 2016

        5 eGFR は推算糸球体濾過量のことを指す

        6 http://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/diabetes

        7 https://ourworldindata.org/cancer

        8 United States Renal Data System(米国腎臓データシステム)- 2017年 USRDS 年次データレポート:Epidemiology of kidney disease in the United States(米国における腎臓病の疫学)- 国立衛生研究所 / 国立糖尿病・消化器病・腎臓病研究所 / メリーランド州ベセスダ / 2017年

        9 Go, A.S., et al., Chronic kidney disease and the risk of death, cardiovascular events, and hospitalization(慢性腎臓病と死亡リスク、心血管イベント、入院). New England Journal of Medicine, 2004;35(13):1296-1305

      カテゴリ: 臨床開発 タグ: by をブックマーク 固定リンク