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      • 米国糖尿病月間と新しい T2DM の治療ガイドラインの啓蒙活動


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        公開: 2018年11月13日 9:48 AM

        米国糖尿病月間に、新しいレポート「2018年 2 型糖尿病における高血糖症の治療 - 米国糖尿病学会(ADA)および欧州糖尿病学会(EASD)によるコンセンサスレポート(Management of Hyperglycemia in Type 2 Diabetes, 2018. A Consensus Report by the American Diabetes Association (ADA) and the European Association for the Study of Diabetes (EASD)」が発表されました。このレポートに掲載されている 2 型糖尿病(T2DM)の患者様を対象とする一連の新しい治療ガイドラインの最新版は、大きな影響力を持っています。

        意思決定サイクル画像

        このレポートは、T2DM とその慢性合併症の管理において包括的な治療プログラムを選択するための、患者様重視のより集中的なアプローチへの「パラダイムシフト」とも言われています。この記事では、ADA と EASD の専門家が執筆した同レポートの要点を概説します。

        T2DM における血糖管理の役割

        これまで、T2DM の治療に関する医薬品クラスはごくわずかしかありませんでした。それらは主に、糖尿病管理において一般的に重要と認識されている血糖管理に関するものが中心でした。これは、高血糖が糖尿病の「細小血管」合併症を引き起こし、腎臓や目、末梢神経に影響を及ぼすことが広く証明されているためです。

        血糖管理を目的とした T2DM 治療の標準薬としては、インスリン注射やスルホニル尿素経口薬、メトホルミン経口薬が数十年前から使用されています。しかし、スルホニル尿素やインスリンは低血糖反応(低血糖症)という厄介な症状を引き起こす恐れがあり、さらに体重増加を招きがちです。多くの T2DM 患者様が肥満に悩んでおり、それをより悪化させることになります。

        また、これらの薬剤を使用してもなお、多くの T2DM 患者様は推奨される血糖値目標を達成することができません。このため、低血糖症や体重増加といった副作用を引き起こすことなく、持続的に血糖値を目標値まで下げる新たな薬剤に対するニーズが急速に高まっています。まだ満たされていないこの医療ニーズに対応するため、過去 10~20 年間にわたって製薬企業各社は徹底した研究を進めてきました。

        血糖管理に勝るメリットを探る

        製薬企業各社は新しいメカニズムを調べながら、血糖管理の範囲を超えた潜在的薬効の戦略化にも取り組みました。そして FDA が2008年、市場参入の承認の前に行われる新規  T2DM 治療薬の大規模治験で、循環器疾患が深刻化する潜在的リスクを排除するよう義務付けます。循環器疾患は T2DM における最大の死亡原因でもあります。

        これで、さらに重点的な治験が必要になり、予想外の結果がもたらされました。後続試験で循環器についての安全性が実証されただけでなく、新しいクラスの T2DM 治療薬が発見、開発されたのです。こうした薬は、低血糖症を引き起こしにくいほか、体重減少というメリットも実際にあり、T2DM の合併症として知られている腎機能の低下、循環器疾患(心臓発作、脳卒中)、心不全を改善するなど独自の効能を備え、これまでに血糖管理の範囲を超える効果を示してきました。そのことが新しいコンセンサスレポートに記されています。

        コンセンサスレポートでは、特定クラスの T2DM 治療薬について、以下の内容を個人ごとに評価しながら患者様を中心に据えて選ぶよう推奨しています:

        • 平均余命、フレイル、共存疾患、副作用に対する感受性、全体的な治療目標
        • 低血糖症のリスクと、その原因となるアテローム性動脈硬化症、心不全、腎機能低下、肥満などの兆候
        • 治療費の負担、および特定の治療計画を遵守する能力
        • 肥満度指数をもとに代謝改善手術を行うことの潜在的メリット
        患者様中心の総合的な治療プログラムが新たな焦点に

        コンセンサスレポートは、新しい治療アルゴリズムにおける推奨事項を詳しく取り上げており、そのなかで慎重に比較が行われた数多くの新しい治験データ(特に、特定の循環器転帰を扱った過去 4 年間のもの)を用いて、糖尿病の最適な疾病管理と生活の質向上を両立するための治療と薬剤について説明しています。

        この患者様中心のアプローチは、個人の既往歴や健康上の志向を考慮しており、 包括的なライフスタイル管理、糖尿病の自己管理教育、処方薬の使用といった T2DM ケアの中心的原則のもとに成り立っています。

        T2DM の疾病管理の過程では常に患者様が中心となります。このアプローチでは、医学的な栄養療法や、体重管理のための運動を取り入れるなどして患者様のライフスタイルに介入するほか、生活や状況の変化に応じてその介入や服薬を修正することもあります。

        広く採用されている治療オプション

        「メトホルミン」はジェネリック医薬品で、T2DM の一次治療に用いる経口薬として推奨されています。低血糖症や体重増加を引き起こさずに血糖を低下させることで知られており、今でも初期治療でよく使用されています。しかし、患者様の多くはメトホルミンだけでは血糖値の目標を達成することができず、通常は他の薬剤も各種併用して治療を行わなければなりません。

        新しい注射薬の GLP-1 受容体作動薬もここ数年よく使用されており、最近の治験結果でも、インスリンの前に注射剤が検討される場合など、治療初期における有用性が裏付けられています。GLP-1 製剤は、血糖値が高い状態の時にインスリン分泌を促し(ただし、体内におけるその刺激は血糖値の高さによって異なる)、低血糖症のリスクがありません。GLP-1 製剤では通常、有意義な体重減少も期待できます。

        さらに最近の治験データによると、GLP-1 製剤は循環器にもメリットがあることが分かっています。GLP-1 には 1 日 1 回注射するタイプと 1 週間に 1 回注射するタイプがあり、投与の形態が選べるようになっています。

        比較的新しい薬剤のメリット

        新しいクラスの T2DM 治療薬のひとつに、ナトリウム-グルコース共輸送体 2 阻害剤 (SGLT2i) があります。この興味深い経口薬には、過剰になっている尿中のグルコースの量を減らすことで血糖値を下げる作用があり、低血糖症を引き起こしません。尿中グルコースの増加と、塩分と水分の排泄によって血圧が低くなる傾向があり、また、このメカニズムで体内のグルコースカロリーが失われることから体重の減少が促されます。SGLT2i の認容性は概ね良好ですが、尿中のグルコース増加によって対処可能な程度の性器カンジダ症を起こす場合があります。​​​​​​​​​​​​​​

        最近の治験では、SGLT2i 薬剤が慢性の腎機能障害を持つ患者様の腎機能に有益な効果をもたらすことが実証されており、そうした症例における早期使用の有用性が裏付けられています。さらに SGLT2i は T2DM に潜在する循環器疾患に関してもプラスの効果があることが分かり、早期に使用することで循環器疾患による死亡や鬱血性心不全の発症を抑制できることが裏付けられました。

        より水準の高い包括的 T2DM ケアに向けて

        総じて、こうした新しい推奨事項によってそれまでの枠組みが一新され、医師や糖尿病ケアの提供者は協力しながら、患者様とともに長期的な糖尿病管理を進めるアプローチを選択できるようになります。

        データをもとにしたこのコンセンサスレポートは、医師が比較的新しい医薬品を有効に利用するうえで長期的に役に立つでしょう。​​​​​​​特に、T2DM ケアの大半が提供される初期治療をはじめとする比較試験で特定の有用性が実証されている場合はなおさらです。さまざまな医学的 / 社会経済的要因が重視されている点も、これからの治療計画のアドヒアランス向上につながるでしょう。​​​​​​​ おそらくこうしたガイドラインは、進行中の治験の臨床情報が更新されるたびに繰り返し発表されます。

        こうした分析や推奨事項は、血糖値の抑制という枠を超えた新しい治療に向けて水準を高める効果があります。T2DM 管理のための新薬や併用計画が絶えず現れるなか、新しい治療への挑戦は患者様の将来にとって価値があります。また、世界に広がるこの疾病において、重度の慢性合併症を予防したり転帰を図るためのさらなるメリットをもたらします。

        コーヴァンスの糖尿病 / 内分泌学専門家の詳細、またフェーズ I からフェーズ IV を通じて 3,400 か所の施設、25,000 名以上の患者様において 75 を超える T2DM のプロトコルをサポートしてきた当社の経験を活用する方法については、こちらをご覧ください:https://www.covance.com/industry-solutions/drug-development/by-therapeutic-area/diabetes-and-endocrinology.html

        参照

        Davies、MJ 他 / Management of Hyperglycemia in Type 2 Diabetes, 2018. A Consensus Report by the American Diabetes Association (ADA) and the European Association for the Study of Diabetes (EASD). Diabetes Care 2018  https://doi.org/10.2337/dci18-0033

        画像の引用元:Davies、MJ 他 / Management of Hyperglycemia in Type 2 Diabetes, 2018. A Consensus Report by the American Diabetes Association (ADA) and the European Association for the Study of Diabetes (EASD). Diabetes Care 2018  https://doi.org/10.2337/dci18-0033

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