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コーヴァンスブログ - 医薬品開発におけるイノベーションの共有
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      • 「合意なし離脱」が医療機器開発に及ぼす影響:法律面とリスク低減対策


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        公開: 2019年2月21日 1:57 PM

        「合意なし離脱」は医療機器のライフサイクルにどのような影響を与えるのか?

        合体した欧州旗と英国の国旗非常に不安定な局面を迎えている英国の EU 離脱問題。そこには「合意なし離脱」というシナリオも浮上してきています。

        ブレグジットの影響の全体像はまだはっきりしませんが、英国の医療機器メーカーやそのスポンサーにとってストレスの多い時期です。EU 法に従わなければ厳しい罰則を受けることになり、ステークホルダー、顧客、患者様に対するビジネス上の責任も果たさなければなりません。​​​​​​​ 政治や法律に関する状況は今も変化しつつあり、この不安定な状態が医療機器の開発過程に関するさまざまな疑問を生み出しています。

        ポイント:離脱交渉が合意に達しなければ、英国は医療機器の規制上「第三国」として位置づけられることになり、EU における CE マーク認証の維持と取得、医療機器の製造や臨床試験の実施をめぐってその他の課題が持ち上がります。

        コーヴァンスの医療機器開発チームがどのようにブレグジット対策を進めているかご存知ですか?

        コーヴァンスは英国の政治的状況を注視しながら、「合意なし離脱」も含めたあらゆる可能性に備えています。​​​​​​​ 当社は開発の段階を問わずお客様とその医療機器製品をサポートし、パイプラインを可能な限りスムーズに維持するべく努力を怠りません。

        ブレグジットが医療機器開発に与える主な法的影響とは?

        法的影響において重大なのは、英国が2019年10月31日をもって EU の「第三国」となることです。これによって、英国の認証機関から取得した CE マーク認証は EU で認められなくなります。また、EU 市場で製品を販売する英国の医療機器メーカーも、EU 域内の販売業者ではなく輸入業者として扱われるようになります。

        欧州委員会は2018年1月22日、次のような工業製品の各ステークホルダーに対する通知を公表しました:​​​​​​​

        2017年3月29日、英国は EU を離脱する旨の通知を提出しました。これは、各国批准の離脱合意によって別の日程が定められない限り、2019年10月31日 00:00(CET:中央ヨーロッパ時間)(「離脱日」)をもって、EU 第 1 次法および第 2 次法の英国への適用が全面的に停止することを意味します。1

        英国で認証を受けた医療機器 CE マークは「合意なし離脱」によってどうなるのか?

        EU 加盟国の基準に適合することを示すマーク(CE マークなど)が英国の認証機関 (NB) 発行のもので、英国が「第三国」となった場合、EU の NB として認められた NB から認証(または新たな CE マーク認証)を受けなければ市場で医療機器の販売を続けることはできません。

        貴社の製品がこのケースに当てはまる場合は、EU-27 認証機関にご相談になり、離脱期日までに CE マークの移行または申請手続き / 書類提出を行ってください。その際は、EU 適合宣誓書(メーカーが作成)の認証番号を必ず変更してください。​​ (英国の NB 番号と新しい EU の NB 番号を両方表記します。)2 

        また、新しい医療機器の規制 (MDR) にも注意が必要で、認証機関はこの MDR の下で認定を受けることが義務付けられています。現在 35 の NB が認定を申請済みですから、その中で認定が下りると思われる機関を利用するようにしましょう。興味深いことに、新しい MDR の下で認定された唯一の NB は英国にあり、その NB から受けた CE マーク認証はブレグジット後は EU-27 から認められなくなります。

        NANDO Database に EU の認証機関がすべて登録されておりて、英国の認証機関が分かるようになっています。

        「合意なき EU 離脱」時の CE マーク対応策

        英国で製造され EU に出荷される製品には、「合意なし離脱」でどんな影響があるのか?

        英国で製造された医療機器については、英国が第三国となった場合、 欧州連合における製造業者の指名代理人を任命する必要があります。1

        2018年1月22日付けの通知では、輸入業者となる英国の新たな役割を次のように詳しく説明しています:

        欧州連合の製品法令において輸入業者とは、第三国から輸入した製品を EU 市場に投入する、EU 域内に拠点を構えた経済事業者を指します。離脱期日を過ぎると、英国内で設立された製造業者または輸入業者は、EU 内で設立された経済事業者ではなくなります。このため、EU-27 内で設立され、離脱期限前は EU の流通業者であった経済事業者は、製品法令において、この経済事業者が離脱期日以後 EU-27 市場に投入する第三国の製品の輸入業者となります。この事業者は輸入業者に関する特定の義務に従わなければならず、その義務は流通業者のものとは異なります。

        EU 域内で治験を行う英国の医療機器スポンサー / 製造業者にはどのような影響が及ぶ可能性があるのか?

        英国が第三国となった場合、英国における医療機器治験のスポンサーが EU 域内で治験を行うには、EU 内で法定代理人を指名する必要があります。

        責任者(任命代理人、法定代理人など)の拠点をどこに置くのか?

        質問と回答において、英国を拠点とする指定代理人または法定代理人は離脱期限を過ぎるとその資格を失う、と明記されています。すべての製造業者は、4月12日までに「EU 域内で指定された」責任者を置く必要があります。2

        製造業者の「指定代理人」とスポンサーの「法定代理人」の違いは?

        EU では、指令と各医療機器法に医療機器についての規定があります。 指令 2007/47/EC など、EU 指令で言及されているのは製造業者の「指定代理人」のみで、同指令では臨床試験に関する内容がすべて「製造業者」の責任として記されています (この法令では「スポンサー」という言葉は一切使われません)。法定代理人の資格については、各国の医療機器法で定められています。

        治験の法定代理人とは別に製品の指定代理人を置いているかどうかに関わらず、原則は同じです。離脱期限後は、代理人の拠点を EU 域内としなければなりません。

        注:この関連指令は2010年3月に各 EU 加盟国の医療機器法に置き換えられました。このため、法的拘束力のある要件として各国の医療機器法に従う必要があります。ドイツ医療機器法英語版)では、スポンサーが EU 域外に拠点を置く場合、EU 域内に「スポンサーの代理人」を置くことを義務付けています(§ 20 (1) no. 1a German MPG)。オーストリア医療機器法(§ 3 no. 5オーストリアMPG)には法定代理人の定義は明記されていませんが、オーストリアの CA は医療機器を使用した治験に関するガイダンス文書をウェブサイトに掲載しており、その中で法定代理人の法解釈が医薬品に関する法令のものと同様であるとしています:「§ 2a (16) AMG(オーストリア医薬品法):スポンサーは、治験の計画、開始、管理、および資金調達に対して責任を負う自然人または法人とする。スポンサーまたはその法定代理人は EEC の署名国に居住していなければならない。」

        ブレグジットに伴う変化への対応でコーヴァンスが提供するサポートとは?

        コーヴァンスのグローバル規制申請(GRS)チームは、現在行われているそれぞれの臨床試験について参加国すべての要件を明確にし、お客様に代わって重大な変更内容を関連当局および倫理委員会に提出します。提出する内容の例としては、前述の EU-27 認証機関による CE マークへの切り替えが挙げられます。そのほか医療機器のラベルに影響する変更の可能性やその関連文書(IB、IFU、インフォームドコンセントなど)も含まれ、コーヴァンスはこれらに関するサポートも提供します。またご要望に応じて、治験を実施するために当社がお客様の法定代理人となることも可能です。

        結論と今後の展望

        「合意なき離脱」の可能性が高まるなか、コーヴァンスは各スポンサーがあらゆる可能性に備えて対処できるよう、医療機器メーカーのお客様に個別に対応する特別委員会を設置しました。ブレグジットの動向はまだ不透明ですが、当社は英国の医療機器メーカーのお客様を全力でサポートし、お客様それぞれの状況や懸念についてお力になります。

        英国を拠点とするコーヴァンスのお客様は、法的状況を理解し、適切なリスク緩和戦略を導入することで、 EU との取引を継続して新たな医療機器を EU 市場に投入することができます。

        当社の機器担当チームへのお問い合わせは、こちらで承ります。

        コーヴァンスのブレグジット対策の詳細はこちら >

        EU 情報の出典

        1 欧州委員会:2019年1月22日、Notice to Stakeholders: Withdrawal of the United Kingdom and EU Rules in the Field of Industrial Products

        2 欧州委員会:2019年2月1日、Questions and Answers Related to the United Kingdom's Withdrawal From the European Union With Regard to Industrial Products

         

        2019年3月15日更新

        コーヴァンスは、現在も英国の政治情勢を見守りながら「合意なし離脱」も含めたあらゆる可能性に備えています。

        英国の下院議会は2019年3月14日、EU 基本条約第 50 条を2019年3月29日以降に延長する動議を可決しました。これは離脱合意が3月20日に成立した場合、首相が6月30日まで EU 離脱時期の延期を要請するというもので、離脱合意が成立しなければさらに長期間の延期が求められることになります。

        なお、前述の医療機器メーカーの規制要件に変わりはなく、ブレグジットの手続きが必ず遅れると決まったわけでもありません。しかし離脱が延期されると、コーヴァンスのお客様にとっては新しい要件に備えるための時間に余裕ができます。貴社のプロジェクトで心配なことがあれば、何でもご相談ください。

      カテゴリ: 臨床開発 タグ: , 投稿者: をブックマーク 固定リンク