聞いて学ぶ、患者様の声

患者様のリクルートは、治験における最大の課題です。一般的な患者様の識別や参加から、スクリーニングの成功率向上や登録後の患者様の脱落防止まで、医薬品の開発者は治験を開始するまでに多くの難題に直面します。  

患者様のリクルートと維持は、治験においてなおも最大の課題となっています。患者様のニーズを念頭に置いてプロトコルをデザインすると治験でのリクルートがより効果的になり、参加率が向上して時間とコストの削減につながります。

シンプルな質問の力

コーヴァンスでは、患者様の声をとても真摯に受け止めています。  私たちは、親会社のラボコープが作り出した数百万もの患者様とのタッチポイントを利用したり、医薬品開発企業が取り組んでいる最も重要な疾病領域に積極的に働きかけたりしながら、65,000 件以上の患者様アンケートからなる独自のデータベースを作成しました。この情報が、患者様の治験参加を促すための詳細で有用な情報をもたらします。 

弊社のポータルはますます勢いを増しており、毎月約 3,000 件の新規登録があります。これまで 20 以上の適応症で 30 以上の国から知見が集まりました。

患者様の声をプロトコルのデザインに活かす  

患者様の声は特に、治験の成否に関わる大規模なリクルートの遅れを防ぐうえで役立ちます。たとえば、コーヴァンスの患者様インテリジェンスチームが最近あるスポンサーから連絡を受けました。そのスポンサーは、宿泊を伴うプロトコルをデザインしたのですが、対象の患者様はそのことを知ると参加の意欲を失っていました。

当社のチームがポータルにその適応症を登録したところ、その疾患のことで話をしていた患者様が 10,000 名おり、そのうち宿泊が伴う場合に治験に参加すると答えた人はほんのわずかだったことが分かりました。こうしたシンプルな情報をできるだけ早い段階で顧客に伝えれば、時間とコストの削減になります。患者様のニーズと嗜好をプロトコルをデザインする前に理解していれば、それが後に大きな効果となって現れるのです。

ケーススタディ:患者様の声を取り入れて潰瘍性大腸炎のリクルートを向上

プロトコルのデザインにおける「後手後手」を改善

また、コーヴァンスが支援している別のプログラムで、新しい顧客がフェーズ I 治験をスタートさせるための準備を手伝っていました。顧客の上級幹部の話によると、それまでの患者様リクルートの成功率は 1% 未満でした。

そこでコーヴァンスのチームはスポンサーのアプローチを「患者様のリクルート」に変えただけでなく、患者様データベースの内容をスポンサーに説明して徹底的な評価を実施しました。13 か国を対象にその疾病を患う 500 名の患者様に働きかけてアンケート調査を実施し、スポンサーが考えていたプロトコルデザインの要素を検証しました。

焦点を絞ったこの調査の結果、患者様の参加を促す要素が判明しただけでなく、望ましい施設滞在時間、治験全体での訪問回数、通ってもよいと思える移動距離、金銭面の期待なども明らかになりました。

この適応症は、モニタリングにかなりの時間を要します。当社のデータベースでは、この疾患を持つ患者様が臨床施設で2〜3 時間過ごさなければならない場合、その人は治験に参加しないということがはっきりと示されていました。 

この時間的制約が、顧客が参加を拒否する理由となったのでしょうか?いいえ、そうではありません。当社のチームはフォローアップを行い、どうすればこうした参加者候補の人々に長時間のモニタリングを伴う施設訪問を受け入れてもらえるのか可能性を探りました。すると、もしもモニタリング中にインターネットを使ったり、映画鑑賞あるいはオンラインで何らかの作業ができるということであれば、参加する確率が 3 倍高くなることが分かったのです。

こうして患者様から得られた有用な情報は、顧客にとってまさに納得できるものでした。リクルートの際のほんの少しの工夫が、治験全体としての成功にも大きく関わってくることがはっきりしたのです。

患者様の声を取り入れる

私はこれまで 20 年以上にわたって患者様の視点を知ることのできる情報を集めてきましたが、「患者様は、決定事項が目の前に出されなければ自分自身で希望や条件を決めることはできない」、「患者様はサイエンティストでも医師でもない」と言ってスポンサーが反発する姿を見てきました。しかし、私たちは最初の段階から治験に患者様の声を取り入れることで、大きな成果が得られることを実証しました。

患者様の声の新しいパラダイムはもうできているのです。私たちは業界がこのアプローチを採用し、いつの日にかすべての治験のプロトコルデザインに何らかの形で患者様の声が取り入れられるようになることを願っています。複数の国にまたがる患者様の調査であっても、患者様支援団体との初期段階の調整であっても、「患者様中心」の考え方はリクルートの効果を高めます。そしてそれは結局、画期的な治療薬を必要とする患者様のためでもあるのです。治験運営を強化する当社の独自データソースについて、Covance.com/real-impact でも詳しくご案内しています。 

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