In vitro サイトカイン放出アッセイ:嵐の後に静けさは来るのか? | CRA に関する記事 I

サイトカインストームとは 

サイトカイン放出症候群(CRS : Cytokine Release Syndrome)は、「サイトカインストーム」とも呼ばれる全身性炎症反応で、疾患、感染、または生物療法の副作用による合併症が原因で発症します。サイトカインストームの臨床症状は、炎症性サイトカインの強力な混合物が全身循環系に大量に放出され、深刻な多臓器障害や多臓器不全を引き起こし、死に至る場合もあります。これは免疫毒性学的に、医薬品開発において非常に危惧される副作用です。

薬剤関連の CRS として記録が残されている最適な事例の一つが、2006年に行われた TGN1412 治験です。CD28 受容体を標的としたこのモノクローナル抗体療法は、血液がんや自己免疫疾患の治療を目的としていました。前臨床の安全性試験では、安全な臨床試験用量の最大 500 倍を投与した場合でも、深刻な副作用は見られないとの研究結果が示されました。しかし、この結果は治験には反映されませんでした。TGN1412 を投与された被験者の全員が輸注反応を起こし、サイトカインストームを発症したのです。  その結果、新しい生体化合物の投与に伴う潜在的リスクを明確にして特定するにあたり、動物モデルの結果に対する信頼性が低下しました。TGN1412 の治験は単独の事例ではありません。ブリナツモマブ、トラスツズマブ、アレムツズマブ、ムロモナブ、CAR-T 細胞など、他の規制機関が承認した治療法でも、同等の(またはより低い)割合で輸注後に CRS が発症した事例が記録されています。


「細胞活性化の兆候がある場合は、前臨床毒性研究における陰性の所見の有無に関わらず、試験対象の治療法が臨床で毒性を誘発する可能性があるかどうかを確認するため、In vitro 研究を実施する必要があります。[GJ1]」 - FDA


サイトカイン放出アッセイ(CRA : Cytokine Release Assays)とその仕組み

サイトカイン放出アッセイ(CRA)は、健康な被験者から採取した免疫細胞を利用した In vitro 評価です。このアッセイは、試験治療法において全血製剤または分離リンパ球製剤が投与された場合に、サイトカインストームを誘発するかどうかを見極めるものです。アッセイで得られた反応は、類似または既知の作用機序を持つ、陽性および陰性であることが分かっている治療化合物に照らし合わせて直接評価されます。  上清サンプルは、化合物を用いた培養後に回収・保存されます。  すべてのアッセイフォーマットにおいて、定期的に評価されるサイトカイン(IL-2、IL-6、IL-10、IFNγ、TNFα)は、ヒトサイトカインアレイ マルチプレックス技術を用いて解析されます。 

In vitro での CRS の主な評価方法には、全血、末梢血単核細胞(PBMC : Peripheral Blood Mononuclear Cells)、高密度 PBMC、血液増殖内皮細胞(BOEC : Blood Outgrowth Endothelial Cell)PBMC 共培養の 4 つがあります。表 1 は、アッセイシステム、標的架橋結合、治療提示のソリューション / フェーズを示します。さまざまなアッセイシステムの詳細については、今後のブログ記事で取り上げます。

CRA が必要とされるケース

TGN1412 の事例で使用された生物製剤はモノクローナル抗体でしたが、免疫系に作用する可能性がある低分子や生物製剤はすべて検査する必要があります。また膜受容体を標的とする製品には、サイトカイン放出を促進するという固有のリスクが伴う可能性があります。

がん免疫療法は、医薬品開発において注目が高まっている分野です。治療法の多くが免疫機能を調整する膜結合型受容体を標的としており、CRA を用いた検査が必要です。

CRA に関する規制ガイドラインの推奨事項

規制機関は、新しい生物学的治療法の試験を行う際の前臨床試験戦略において予測された値について疑問を呈しています。このため規制機関は、生物学的治療物質のリスクを排除するために In vitro で CRA を実施するよう求めるようになりました。

業界向け FDA ガイダンスによると、治療用タンパク質製剤の免疫原性評価には、「細胞活性化の兆候がある場合は、前臨床毒性研究における陰性の所見の有無に関わらず、試験対象の治療法が臨床で毒性を誘発する可能性があるかどうかを確認するため、In vitro 研究を実施する必要があります[GJ1] 」と記されています。

コーヴァンスでは、PBMC、全血(液体とウェットコーティング、乾式固定化)、高密度 PBMC の各種アッセイを標準で提供しています。また、非臨床・臨床開発計画の補助として、その他の In vitro サービスも提供しています。  

CRS に関する記事パート II - 「サイトカインストームを乗り切る:さまざまな種類のサイトカイン放出アッセイ」はこちら。

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