ブレグジット:相互承認協定で、市販医薬品リリース試験の潜在的リスクを軽減

ブレグジット1 の期限が再度延長され、新たな締め切りは2020年1月31日となりました。12月12日の総選挙の結果から見て、離脱の可能性が高いと思われます。しかし、医薬品メーカーや試験受託ラボは、市販医薬品リリース試験とブレグジットに関わる規制についての考察を積極的に行い、把握する必要があります。

この記事では、EU と米国間の相互認証協定 (MRA: Mutual Recognition Agreement) の概要を説明し、ブレグジットが進んだ場合に、EU、英国、米国において医薬品を販売するにあたり、代替案としてどんな試験の導入を想定すべきか検証します。

規制検査の負担を軽減する認証協定

製薬会社の施設はこれまで(長年コンプライアンスを満たしてきた実績があっても)、EU の機関と米国食品医薬品局 (FDA) の両方からたいてい検査を受け、時には同じ年に検査が重なることもありました。それぞれの機関で同じ施設を検査して二度手間になった結果、公衆衛生の危険性がより高い製薬施設が見過ごされる可能性があることを理解した EU と FDA は、共同検査プログラムを設けて互いの検査レポートを共有することに合意しました。これにより、消費者の安全を守りつつ、コンプライアンス基準の国際的な協調を進める方針を打ち出したのです。

この決定は過去 2 年にわたる検討の末、相互認証協定 (MRA) として正式にまとめられました。これは、協定に参加する 2 か国以上が、お互いの国で用いられる特定のプロセスや手順を正式に認めるという取り決めです(FDA の FAQ を参照)。MRA で対象となるのは、人間が使用する市販されている最終製品の医薬品と生物学的製剤、中間物、医薬有効成分ですが、現在ワクチンや先進医療製品 (ATMP) などは除外されています。

EU と MRA を締結した米国は、FDA と EU の検査官が検査レポートをはじめ製薬施設の検査で得た情報を共有して、施設が医薬品の品質を守っているかどうかの判定に用いることを認めています。検査は EU の検査官が行っても FDA が行ってもよく、いずれの機関も、お互いの国でいつでも独自に検査を実施する権利を保持してます。

ブレグジットに伴う相互認証協定のメリット

EU - 米国間の MRA が締結された現在、EU の機関が米国の施設に関する FDA の調査結果を採用したり、あるいはその逆も可能になりました。米国の医薬品を EU に輸入する際にも、資格者の認証を得た管理が米国であらかじめ行われているため、再試験の必要がありません。英国も EU の医薬品適正製造基準 (CGMP: Current Good Manufacturing Practices) に則っており、また、今のブレグジット前の状況下でも米国 - EU 間の MRA に準じています。

英国の EU 離脱合意​​​​​​​が締結されたあかつきには、移行期間中は現在の協定が適用されます。医薬品市販承認取得者は引き続き英国内の QC 試験に依拠することができ、コーヴァンスは英国のハロゲート、ヨーク、ハンティンドンに施設を有しています。コーヴァンスは、この見込まれる移行期間中に EU と英国の間で同様の MRA が結ばれると考えています。両側とも 40 年以上にわたって同じ GMP 規制に準拠してきた経緯があり、また、医薬品の流通の自由を守っていきたいという強い倫理的動機を持っているためです。

万が一、ブレグジット後に英国と EU の間の合意が遅れることがあっても、コーヴァンスは米国のインディアナ州グリーンフィールドにある自社施設で、現行の EU - 米国間 MRA に基づき EU 市場に向けた医薬品リリース試験を行うという緩和戦略も用意しています。グリーンフィールドの施設は2011年以来、フォーム 483 関連や大きな問題が報告されることなく GMP 規制検査をクリアしてきた実績があります。それらの検査には、2017年3月の MHRA(英国)、2016年1月の FDA(米国)、2013年11月の FDA(米国)、2012年5月のカナダ保健省による検査も含まれます。

予期せぬ事態に備え、すみやかな移行を目指す

医薬品をグローバルに販売している企業には、世界中の多くの施設へのアクセスを助け、各国の規制に準拠する最適な方法を提案できるパートナーが必要になります。コーヴァンスの CMC チームは、ブレグジットの不透明な状況から危惧される医薬品関連の滞りを軽減するグローバル販売戦略に自信を持っています。不測の事態を見越し、お客様のプログラムとプロセスがすみやかに移行できるよう備えましょう。

「ブレグジット」は英国の EU 離脱を意味する「ブリティッシュ イグジット」を縮めた言葉で、同国は2016年6月23日の国民投票で EU を離脱することが決定しました。